Amazonが米独の一部出版社を差別待遇したとして激しい非難に---圧倒的な市場占有力の脅威が顕在化?
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世界的なオンライン小売大手のAmazon.com(以下、Amazon)が、特定の出版社から発行される書籍を不当に扱っているとして、米国やドイツなどで厳しい批判に晒されている。

●"As Publishers Fight Amazon, Books Vanish" The New York Times, MAY 23, 2014

●"Amazon-Hachette Dispute Heats Up" THE WALL STREET JOURNAL, May 23, 2014

上の記事によれば、Amazonは米国の大手出版社Hachette(本社はフランス)が発行する書籍の配送時間を意図的に遅らせたり、割引率を他の出版社の書籍より低くする(つまり書籍の実売価格を他の出版社より割高にする)、さらには新刊の発売前予約を受け付けないなどの措置をとっている。また同じことは、ドイツのBonnier Media Groupが発行する書籍に対しても起きているという。

電子書籍の売上配分で揉める

Amazon自身はこれについて公式声明を出していないが、実際にそうした事態に陥っているのは、どうやら事実のようだ。背景には、Amazonとこれら大手出版社との間で、電子書籍の売上配分の交渉が難航していることがある。米国では先頃の司法判断で、出版社側がAmazonなど小売業者への電子書籍の卸価格を決められるようになった。ただし電子書籍の小売価格(実売価格)は、小売業者側が決める。

この結果、電子書籍の売り上げに占めるAmazonなど小売業者側の取り分は約30%程度になると見られるが、仮に彼らが電子書籍の割引率を高くすれば(=実売価格を安くすれば)、取り分は当然それより小さくなる。つまり出版社側から言えば、「君たち(小売業者)が電子書籍を安く売るのは勝手だが、その分の被害は君たちが被ってくれよ」ということになる。

冒頭のWSJ記事によれば、米国の電子書籍の利益率は75%と非常に高く、従来の紙の書籍(同40%)に比べると、出版社にとって非常に旨みの大きいビジネスになっている。このためAmazonは出版社側に対し「君たち、それは儲け過ぎだから、もっと我々の取り分を増やしてくれ(つまり電子書籍の卸価格を値下げしてくれ)」と要求したと見られる。Amazonは最近、株価が約25%も下がったが、その理由は利益率の伸び悩みにあると言われる。このため将来性のある電子書籍で、今後の利益率を高めたいのだ。

電子書籍などに関する交渉は、業界間の団体交渉ではなく、個々の出版社とAmazonとの間の個別交渉になる。そこで大手出版社の多くは、Amazonの提示した条件を呑んだが、Hachetteはこれに応じなかった。この結果、前述のような状況に陥ったということだろう。同じことは恐らくドイツのケースでも言えるのだろう。

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