「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第46回】 米国長期金利低下の3つの要因

図1. 米国10年物国債利回りの推移

米国長期金利に何が起こっているのか

このところ、米国の市場関係者の間で長期金利の低下が話題になっているようだ。

長期金利の低下が話題になるには理由がある。経済状況をみると、長期金利が低下するのが不思議なためだ。

FRBは雇用環境の着実な改善を受けて、Tapering(量的緩和の段階的な縮小)を進めているし、経済指標も細かくみれば一進一退のようだが、総合的に判断すれば、米国経済は回復傾向にあり、リーマンショック以前の「正常な状態」に回帰しつつあるようにみえる。

一般的に、長期金利はマクロ経済の状況を反映して推移すると考えられており、リーマンショック後の長期金利の水準が過去と比較して異常な低水準であるとすれば、米国マクロ経済の正常化にともなって上昇してもおかしくはない。

現に、2012年4月下旬に2%を割り込んだ米国の10年物国債利回りは、2013年5月下旬以降、上昇に転じ、2013年12月末から2014年1月初めにかけて3%台に突入した。上昇に転じたきっかけは、FRBによるTapering実施の可能性が高まったことであった(バーナンキ前FRB議長のFOMC後の記者会見での発言)。

バーナンキ前議長が量的緩和の段階的終了の可能性を示唆したことが、投資家に米国経済の正常化を意識させ、長期金利の上昇をもたらしたと考えられる(図1)。

今年に入ってからの10年物国債利回りは、約2.75%程度の水準を中心に行ったり来たりの展開だったが、5月以降、低下バイアスがかかる展開となっている。確かに、1-3月期のGDP統計の結果が思わしくなかったこと(実質GDP成長率は季調済前期比年率で+0.1%と冴えなかった)や労働参加率の低下など、米国経済についてのネガティブな材料が散見されたが、明確な景気減速の兆候は表れていない。

また、過去、長期金利が低下する局面では、同時に株価を調整することが多かったが、今回は明確な株価調整は発生していない(ただし、株価上昇率は他市場と比較してそれほど高くないのも事実である)。一体、米国長期金利に何が起こっているのだろうか。

図2. 米国長短金利差と経済変数の相関関係
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