視聴率だけが売上を左右する時代の終焉~個人の自由時間と放送外収入の獲得を目指すテレビ局
視聴率以外で売上を伸ばしているフジテレビ

20代から50代の働き盛りが、1日に自由に使える時間は平均4時間台。この時間内でテレビを見たり、新聞や雑誌、あるいは本を読んだりするのだが、それぞれの時間量は1990年代と比べて、いずれも減少している。2000年代に入ると、ネットやスマホが生活内に定着し、それに費やす時間が生じたのだから、当たり前だ。寝る間を惜しんでまでテレビを見たり、新聞を読む人はそんなにいないだろう。

その傾向が若者の間で顕著なのは知られている通り。NHK放送文化研究所の調べによると、1985年の時点では若者(16~29歳)の56%が1日に平均3時間以上テレビを見ていたが、2010年には49%にまで低下。それから3年半が過ぎた現在はスマホの普及が進んだこともあり、さらに低下していると見られる。

しかも、平均1時間しか見ない若者が14%から21%に増えていて、ほとんど見ないという若者も2%から6%に増加している。まだ業界を震撼させるほどの数字ではないようだが、視聴時間の減少傾向は今後も止まらないだろう。

視聴率だけが売上を左右するという定説は過去のもの

ネットとスマホの影響をまともに受けているのは新聞だ。2000年の総発行部数は計約5370万部あったが、2013年には計約4700万部にまで減ってしまった。約670万部減。業界大手の朝日新聞社でさえ総発行部数は公称約760万部なのだから、深刻な数字だ。ネット、スマホへの対応が遅れ、さらに新聞本体以外での売り上げ増も期待できない新聞は、遠からず消えていくというのが大方の見方である。

自動車メーカーや電機メーカーは、製品の性能やイメージなどでユーザーの財布の中身を奪い合うが、テレビと新聞や出版、ネットとスマホは、個人が持つ4時間台の自由時間を取り合っている。土俵は同じ。既存メディアが「ライバルは同業他社だけ」と考えるのは、古い常識になりつつある。

5月14日に出版のKADOKAWAとニコニコ動画を運営するドワンゴが10月に経営統合すると発表されたが、これも出版業界とネット業界だけに関わるニュースではなかったのは言うまでもない。個人の自由時間の取り合いがさらに激化するのは確実。

テレビが個人の自由時間をほぼ独占できた時代が終焉しつつある。このため、視聴率だけが売り上げを左右するという定説も徐々に過去のものになっていくだろう。

事実、5月15日に出そろったキー局の2014年3月期決算を見ると、2013年度の視聴率が3位と振るわなかったフジ・メディア・ホールディングスの売上高が伸びている。約6,421億円で前年度比1.6%。CM収入は低下したが、その穴を映画やDVD販売、イベント事業収入、さらにディノスなどの通販が埋めた。

一方、視聴率で大躍進したテレビ朝日ホールディングスの売上高は2,679億円(前年度比5.6%)。事業規模の違いはあるが、CM収入だけでは伸びに限界がある。視聴率上昇だけを考える「一本足打法」では、売上高の大幅増は難しい。純利益も116億円で、やはりフジHDの172億円を追い越せなかった。

テレビ離れが進む若者層が、30代から40代、50代と年齢を重ねれば、より視聴率だけでは勝負できなくなる。当たる映画を作れば売り上げを伸ばせるが、大ヒット中の映画「アナと雪の女王」でさえ興業収入は185億円(5月19日現在)。フジHDの売上高の約35分の1に過ぎず、しかも、ここまで当たる映画はそうない。となると、テレビ局もネットやスマホを活用したビジネスにより力を入れ、イベントなどでも売り上げを伸ばすしか業績拡大の道はない。

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