読書人の雑誌『本』
『メールはなぜ届くのか』著:草野真一---今どきメールかよ!
メールはなぜ届くのか』著:草野真一
価格860円(税抜) amazonはこちら

メールはなぜ届くのか

このたび、ブルーバックス・シリーズの1冊として、そんなタイトルの本を上梓することになりました。つまり、これは編集部からの「お題」だったわけですが、「今どきメールかよ!」と思わずにいられなかったことを正直に告白しておきます。

電子メールはかつて、インターネット応用技術の王様でした。メールがネットを浸透させ、現在に至る広がりをつくった。そう断じてもまったく過言ではありません。

しかし、現在はメールと同じ役割を果たす手軽なサービスがいくつも生まれています。筆者自身、これらのサービスを利用することがとても多いため、メールをテーマに本をつくることに若干の抵抗を感じていました。すでに王座から降りたかつての王様について述べるより、これから王座につくであろうサービスに着目したほうが、多くの人にとって実りあることが語れるのではないか。そんな気がしてならなかったのです。

テキスト主体の通信手段としての電子メールは、今後ますます数あるサービスのワン・オブ・ゼムになっていくでしょうし、ユーザも次第に減っていくでしょう。それが多くの識者の見解ですし、筆者自身もそう思っています。

しかし、本の構成についてあれこれ思いをめぐらし、編集者と打ち合わせをかさね、じっさいに執筆作業を進めるうちに、これはおもしろいかもしれないぞ、と思うようになりました。「メールはなぜ届くのか」。とてもいいじゃないか。そう思うようになっていったのです。

理由はふたつあります。

ひとつは、このテーマを人に語ったときの、圧倒的な「通りのよさ」です。