牧野 洋の「メディア批評」
2014年05月23日(金) 牧野 洋

「吉田調書」で特報を放った朝日はエゴスクープと決別できるか?

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5月20日付朝日朝刊の1面トップは「吉田調書」スクープ

「原発 命令違反し9割撤退」---。5月20日付の朝日新聞朝刊1面に大見出しが躍った。

記事によると、東日本大震災の4日後、東京電力福島第一原発にいた所員の9割が待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量が急上昇しているという。

記事の土台になっているのが、朝日が独自に入手した「吉田調書」だ。第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」のことである。記事は、待機命令違反によって事故対応が不十分になった可能性を指摘している。

これは典型的な「エンタープライズスクープ」だ。国民に知らせる必要があるにもかかわらず、放っておけば決して表に出てこないニュースを掘り起こす形の報道のことだ。調査報道とほぼ同義であり、記者会見やプレスリリースに頼る発表報道と対極にある。

朝日は調査報道に軸足を移しているのか

ジャーナリズムの最高の栄誉である米ピュリツァー賞を見ると、最高格の公益部門受賞作は例外なくエンタープライズスクープだ。今年の同部門受賞作は、米国家安全保障局(NSA)による情報監視活動を暴いた米ワシントン・ポストと英ガーディアン両紙の報道。両紙は、NSAの元職員エドワード・スノーデン氏から提供されたNSA機密文書を土台にして特報を放った。

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