経済の死角

魅力的なビットコイン投資、暗号通貨の競争と共存はうまく機能するのか

『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』著者・吉本佳生氏インタビュー【後編】

2014年05月22日(木)
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[左]吉本佳生氏(エコノミスト・著述家)、[右]西田宗千佳氏(フリージャーナリスト)

講談社ブルーバックスから『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』が2014年5月20日に刊行されました。

通貨制度などの金融・経済面を吉本佳生氏が、暗号数理などの情報技術面を西田宗千佳氏が担当して執筆しています。本書に書かれている内容から少し外れますが、もうすぐ夏のボーナスシーズンになりますので、資産運用の観点からビットコインをどうみるか、吉本が疑問に答えます。中編はこちら

--いまのところ、ビットコインに興味をもっている人の多くは、「資産運用」の対象として、もっとストレートに表現すれば「投機」の対象としてみているように感じられます。そのため、米ドルや円などとの交換レートが不安定で、通貨として使いにくいと指摘されていますが、いかがでしょうか?

大きな誤解があると思われます。そもそも、超短期での日々のレート変動と、数ヵ月から数年単位での中長期のレート変動を区別して考える必要があります。

超短期では、株価も円相場もビットコインのレートも、昨日のレートと極端に乖離しないレートで今日の取引がおこなわれることが、通常です。これは投機が十分におこなわれているからで、超短期のレートがこのように安定しているのは、「投機による安定化作用」が働いた結果だといえます。

また、決済に使うときには、たとえば、日本に住むAさんがフランスに住むBさんに送金するときには、Aさんが送金直前に円をビットコインに替えて、すぐにBさんに送金し、Bさんがその直後にユーロに替えてしまえば、ビットコインのレート変動による差損はほとんど発生しないでしょう。日々のレートはそれなりに安定しているからです。

投機が十分におこなわれているから、決済に使いやすい、との見方もできるのです。このあたりの話は、金融市場での実務にくわしい元銀行員などの大学教授、数人と意見交換をしましたが、私の周囲ではみなさんが同意見でした。

中長期的には、暗号通貨という新テクノロジーが登場して、注目が集まった期間に、価値が急上昇し、一種の「バブル」ではないかと疑われるほどの急上昇が起き、その反動でときに急落しました。こうした現象は、新テクノロジーの宿命といえるもので、わかりやすい例として、日本では1999年から2000年春にかけて起きたITバブルがあります。

暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり
「良貨」になりうる3つの理由

著者=吉本佳生、西田宗千佳
講談社 / 972円(税込)

◎内容紹介◎
21世紀の「金融イノベーション」がはじまった! 「「国家の後ろ盾がある法定通貨」は、完全無欠ではない。暗号通貨は、欠点だらけの現行通貨」を革新する可能性を秘めている。
暗号がなぜ、おカネになるのか? 電子マネーやクレジットカードとどうちがうのか? 偽造される心配はないのか? ビットコインの背後に潜む数学や暗号技術と、経済へのインパクトをくわしく語る。

⇒本を購入する AMAZONはこちらKindle版)/ 楽天ブックスはこちら
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