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2014年05月20日(火)

『地球進化 46億年の物語』
「青い惑星」はいかにしてできたのか
ロバート・ヘイゼン=著 円城寺守=監訳 渡会圭子=訳

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絶えず変化をつづける地球。
海洋、岩石、生命、鉱物、大気──
全てが複雑に絡み合い「共進化」する。
誕生から46億年を貫く壮大なストーリー。

 小惑星衝突、超大陸の登場と分裂、生命の誕生、大酸化イベント、全球凍結と温暖化──。幾度もの大変化をくぐり抜けてきた激動の46億年を、「生物と無生物が織りなす共進化」という新しい視点で描き出す、驚きに満ちた地球全史。


はじめに

 二〇世紀の最も心に残る映像といえば、一九六八年に月を周回した宇宙飛行士が撮影した「地球の出」の写真だろう。地球は、満々と水をたたえた大洋、酸素をたっぷり含む大気、そして生命が存在することがわかっている唯一の惑星だ。この世界がどれほど貴重で特別なものか、私たちははるか昔から知っているはずだった。しかし冷たく荒涼とした月の風景と、生命の存在しない暗黒の空虚な宇宙、そしてそこに浮かぶ青地に白を流し込んだマーブル模様の魅惑的な地球、これらの息をのむようなコントラストは、私たちの予想をはるかに超えるものだった。遠く離れたその場所から見た地球は、ぽつんとして小さく無防備だが、同時に天上のどんなものよりも美しく見えた。

 私たちが自分の住むこの星のとりこになるのは当然だろう。キリスト誕生の二世紀以上前に、博物学者でもあったギリシャの哲学者エラトステネスは、地球に関する最古の実験を行った。影を観察するという単純な方法で、地球の全周長を測定したのだ。彼はエジプトの赤道付近の町シエネで、夏至の日の正午に太陽が真上にあるのを確認した。そのとき地面に垂直に立っている柱に影はできていなかった。ところが同じ日の同じ時間、北に八〇〇キロメートルほど離れた沿岸都市のアレキサンドリアでは、柱には短い影ができていた。つまり太陽は真上にはなかったのだ。エラトステネスは、ギリシャの先人、ユークリッドの幾何の定理を使って地球は球体であると結論し、全周長を約四万キロメートルと計算した。現在、赤道上の全周長は四万七五キロメートルということになっているので、驚くほど近い値をはじき出していたわけだ。

 何世紀もの間、何千人もの学者(そのごく一部は崇められるべき存在として現在に名を残しているが、大半は歴史の中に埋もれ忘れられている)が、私たちが住む惑星について細かく調べてじっくりと考えてきた。彼らは地球がどのように形成され、天上をどのように動いているか、何でできているのか、そしてどういう仕組みなのかを問い続けている。そして何より科学に携わっている人々は、私たちの活動的な惑星がどのように進化し、生命の息づく世界になったのかを知りたがっている。今日の私たちは、これまでに積み重ねられた驚くべき量の知識と、人間が築き上げた技術の粋により、地球について古代の哲学者が想像もつかないほどのことを知っている。もちろんすべてを知っているわけではないが、地球についての理解は豊かで深い。

 そしてそれらの知識は人類の始まりから積み重ねられ、一〇〇〇年以上かけて洗練され、理解が確実なものとなった。その進歩の中で明らかになったのは、地球についての研究は変化についての研究であるということだ。

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