「中部電力浜岡原発を内部取材。「フィルター付きベント工事」「失敗に学ぶ回廊」の安全思想で再稼働できるか

浜岡原発5号機の実物そっくりに作られた「原子炉制御室シミュレーター」

九州電力川内発電所(1、2号機)を先頭に再稼働の動きが本格化する加圧水型原子炉(PWR)を持つ原子力発電所と違い、沸騰水型原子炉(BWR)を持つ原子力発電所の再稼働へ向けた歩みは相変わらず鈍いままだ。

その原因は、東日本大震災で大きな事故を起こした東京電力福島第一原発の1~3号機がBWRだったことにある。政府は、原子炉のタイプの違いに着目し、「PWR=安全」「BWR=危険」と印象付ける議論を容認し、そのムードに乗じてPWRの再稼働を優先する姿勢を採ってきた。

しかし、日本経済の根幹を左右しかねない原発戦略をそんな単純なイメージ論で決定するのはあまりにも乱暴だ。

筆者は今月初め(1日)、一連の原発稼働停止騒動の発端になった中部電力浜岡発電所を現地取材して、改めて、この問題に疑問を抱いた。今週は、その現地取材のレポートを届けたい。

原発の危険性は「PWR」か「BWR」かでは決められない

レポートに入る前に、そもそも、筆者がなぜ、「BWR=危険」というステレオタイプの議論に強い疑問を感じているかを述べておく必要がある。

その理由は、本コラムでも何度も触れた(最新は、3月4日『東京電力福島原発と東北電力女川原発の差はなぜ起きたのか?原発問題はいまこそ事業者の資質の検証を!』)し、筆者の近著『電力と震災 東北「復興」電力物語』でも指摘した通り、最も初期のBWRである「マークワン」を設置していた2つの発電所が、東日本大震災で対照的な運命を辿ったことにある。

米ゼネラル・エレクトリックが40年以上前に商用化したBWRの元祖「マークワン」は、PWRに比べて原子炉が小さいため安全性で劣るとの議論が取り沙汰された時期がある。世界的には、BWRは少数派に過ぎず、欧州、特にフランスを中心にPWRが幅広く普及しているのも事実だ。

そして、東日本大震災後、政府・経済産業省がそうしたPWRとBWRの関係を再稼働論議に利用しようとしたのは、公然の秘密と言ってよい。結果的には、やらせメール騒ぎでとん挫したものの、震災後いち早く再稼働に名乗りを上げたのは、2つのPWR(九州電力の玄海発電所と四国電力の伊方発電所)だった。

また、震災後2度目の夏を控えた2012年4月、関西電力の八木誠社長が記者団に、「(PWRの大飯発電所は)基本的には福島の事故のようにはならない対策ができているということ」と発言、BWRと違って安全だとの印象を与えたことを記憶している読者も多いはずだ。

しかし、原子炉の形態の違いは、PWRの原発の安全性を無条件で保証するものでは決してない。日本でも過去に5人もの人命を奪う死亡事故を引き起こしたPWRの原発が存在する。

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