田原総一朗×郷原信郎【第3回】
作り上げたストーリーを貫き通すために暴走する検察と司法記者たち

WOWOW連続ドラマW「トクソウ」放送記念対談
[左から] 郷原信郎氏、田原総一朗氏、サンキュータツオ氏

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弁護士になるつもりが検察の世界へ

田原: 郷原さんは、司法試験を受けて検事になったということは、やっぱり検事や検察の世界に憧れていらっしゃったんでしょうか。なんで検事になったんですか?

郷原: 検察に入ったきっかけというのは、特別憧れとか使命感があって入ったわけではないんですよ。元々私は理科系の出身で会社勤めをしていて、それで180度方向転換しようと思って司法試験を受けて、何とか受かったので、最初は弁護士をやろうと思ったんですけどね。

ただ、私は若くて理科系出身だったということで珍しい人材だったんですね。それで検察の幹部が何とかして私を検察の世界に引きずり込もうとして、あの手この手を使ってきて、結局引きずり込まれてしまったということなんです。

田原: 「あの手この手」ってどんな手を使ったんですか?(笑)

郷原: たとえば、内定をもらって入る予定だった東京の弁護士事務所があったんです。ところが、司法修習生の時の私の検察教官というのが検察教官の筆頭で、検事正クラスの人だったんですが、私が行こうとしていた弁護士事務所のボス弁護士と話をして諦めさせたんですね。その代わりに他の修習生の紹介までしたそうです。それで私は行くところがなくなっちゃったので、仕方なく検察の世界に入ったわけです。

警察が捜査し、最終的に起訴するかどうかを検察が判断する

田原: 検事になって、最初にスタートを切ったのはどこだったんですか?

郷原: 東京地検です。新任検事といって半分修行の身ですね。普通の事件の捜査も公判もやるんですが、先輩検事にいろいろ指導を受けながら経験を積んで、2年目から私は福岡地検小倉支部に行ったんですが、もうそこからは一人前扱いなんですよ。一人で普通に検事の仕事をするんです。

田原: 普通の検事の仕事ってどんな仕事ですか? たとえばどんな事件を扱うんですか?

郷原: たとえば覚醒剤、殺人、強盗……いろいろな事件がありますが、そういう一般事件をかなりの数をこなしました。

田原: 覚醒剤、強盗、殺人という一般事件は、まず警察が捜査をして逮捕するわけですね。逮捕をして取り調べをしたら、どういう段階で検事に渡すんですか?

郷原: 警察は容疑者を逮捕したら、48時間以外に検察に身柄を送らなければならないということになっています。そうしないと、身柄拘束が継続できないんです。それから先は検察官が取り調べをして、引き続き身柄を拘束する必要があるかどうかを判断して、勾留請求をした場合にはさらに10日とか20日とか長期間の身柄拘束が認められているんです。

田原: そうすると警察は48時間だけ取り調べをして、あとは検察に送るわけですね?

郷原: そうですね。それからあとは検察官の判断を仰がないといけないんです。そこから先は検察と警察が協力する形で、基礎的な取り調べは警察がやって、まとめのところは検察がやるということで捜査して、最終的に起訴するかどうかを検察官が判断するということです。