佐藤優さんに質問---「ウクライナ問題を起点にして第三次世界大戦が勃発する可能性はどの程度でありますか?」ほか

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」 Vol036 質疑応答より

【質問】 4月19日(土)の特別セミナー「ビジネスインテリジェンスから読むウクライナ問題」に参加させて頂いたのですが、それに関連して、以下の通り4点ほど質問がございます。

ウクライナ問題を構造的(立体的に)に理解したいと考えております。佐藤さんのお話を纏めるとウクライナ問題は以下の2点に集約すると考えられるのですが、この理解で間違いないかご確認頂くことは可能でしょうか。

その1: そもそも「ウクライナ問題」とはウクライナの1/5を占めるガリツィア地方の扱いを巡る争いのことであり、反ロシア派であるガリツィア地方に基盤を持つウクライナ民族至上主義者と親ロシア派の間のウクライナ国内における民族対立のこと。ウクライナ民族至上主義者(反ロシア派)の背後には欧米が、親ロシア派の背後にはロシアがいる。

その2: ロシアのクリミア併合により、ウクライナ国内の対立というだけでなく、ロシア対欧米(+日本)という国際的な対立に及びそれが悪化しているが、ウクライナ問題を構成する国際的な対立は、以下の(i)~(iv)の要素からなる。

(i) 価値観を巡る対立という側面
・ロシアは、現在、米国同様に資本主義国家(反共国家)であるが、米国は無理やり東西冷戦構造と同じ価値観の違いに押し込もうとしている。すなわち、ロシアには民主主義や自由が存在していない、これは価値観の違いであると仕分けようとしている。・・・(以下略)

――佐藤優さんの回答: このまとめで問題ありません。

【質問】 佐藤さんは、「ウクライナ問題はハンドリングを間違えると第三次世界大戦に繋がりかねない、また、米国以外の国はこの点を認識しているが、米国は頭に血が上っておりこの点を理解できないことが大問題である」とご指摘されましたが、ウクライナ問題(ウクライナの民族(宗教)対立)を起点にして第3次世界大戦が勃発する可能性はどの程度であると認識されておられるでしょうか。

――佐藤優さんの回答: 「第三次世界大戦勃発の可能性が××パーセント」というような、定量的分析に馴染む問題ではありません。5月2日のウクライナ南部のオデッサにおける住民間衝突で、48人近い死者が発生しました(5月11日「ロシア公共テレビ」)。そのほとんどがウクライナ暫定政権に反対する人々です。この事件後、ロシアの草の根からのウクライナに対する世論が厳しくなっています。

5月25日のウクライナ大統領選挙で成立する政権も、同国の東部、南部を実効支配することはできないでしょう。ウクライナが憲法を改正し、東部、南部に大幅な自治権を認める連邦化は、合理的な解決策ですが、「ロシアが連邦化を主張している以上、それを飲むことはできない」という稚拙な対応をウクライナはとっています。そう時間をおかずに、ドイツ、イタリア、フランス、オランダなどが、ロシアの立場に接近し、ウクライナに対する圧力を強め、事実上の連邦化を認めさせる方向に事態が動くと私は見ています。・・・(以下略)

【質問】 シェール革命の与える今後の国際情勢シナリオについて最近、シェールガスについて勉強しています。アマゾンで手に入る日本語で書かれたシェールガス関係本はほとんど目を通しました。また、テレビの特集にも目を通しました。アメリカのエネルギー政策に大きく影響を与え、今後の国際情勢に対して大きなインパクトを与えるのではないかとの印象を受けています。佐藤さんはじめ、プロのインテリジェンスの方たちはシェール革命が与える今後の国際情勢の変化シナリオをどのように考えておるのでしょうか?

――佐藤優さんの回答: 確かにシェール革命は大きな影響を与えると思います。拙著『元外務省主任分析官・佐田勇の告白――小説・北方領土交渉』(徳間書店、2014年)の第一章に私の考えを記しました。

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol036(2014年5月14日配信)より