「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第44回】 グローバルで株価が上昇している国の特徴と有効な投資戦略

図1. 世界市場のパフォーマンスランキング(以下すべて筆者作成)

「リターン」で見る世界の株式市場

マスメディアは連日、米国株式市場の史上最高値更新を報じており、米国経済は好調を維持しているように見えるが、「リターン」で見た場合の米国株式市場のパフォーマンスはそれほどよくない(ここでいう「リターン」とは1株当たり配当率と株価上昇率の合計値)。

MSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出している世界78ヵ国の国別株価指数を見ると、年初からの累積リターンは+2.58%、78ヵ国中49位に過ぎない。

そこで、年初からのリターンが高い国ベスト20とワースト20をランク付けしてみると図1のようになる(ただし、直近は5月13日である)。リターンが高い国第1位はUAE、第2位はウクライナ、第3位はカタール、第4位はバングラデシュ、第5位はブルガリア、という驚くべき結果となっている。

特に第2位のウクライナは、クリミアのロシア編入問題等、ある意味、「国の存亡」をかけた政治的な騒乱の真最中にもかかわらず、ここまでの株式市場のパフォーマンスが良好であった(もっとも、直近1ヵ月のリターンは-3.31%と悪化しているが)。

その他にも、イスラエル、エジプト、ヨルダン、トルコなど、地政学リスクや政治リスクが高い国において株式市場のパフォーマンスが良好である点が今年の特徴となっている。

また、欧州市場も総じて堅調である。例えば、図1では、デンマーク、イタリア、ポルトガル、アイルランドが年初来リターンでのベスト20に入っている。イタリア、ポルトガル、アイルランドはユーロ危機で財政危機、及び金融危機に直面した国である。ランキングに入っていないギリシャも1年間のリターン(すなわち、昨年5月14日から今年5月13日までの1年間のリターン)でみると+18.16%と高い。

一方、パフォーマンスがさえないのがクロアチア、エストニア、ボスニアといったロシアに近い国々、及びロシア、それに、ジンバブエ、ナイジェリア等のアフリカ諸国、中国である。加えて、残念ながら、日本もワースト第3位にランクインしている。

このように、ランキングをそのまま見ても、今後の株式市場の動きを見通せるような要因は見出しにくい。せいぜい、ユーロ危機を材料に大きく売り込まれたユーロ圏、及び周辺国の株価の割安感が当該地域に所属する国の株価を押し上げたこと、最近では、ウクライナ情勢の混迷により、ウクライナ自身というよりも、むしろ、ロシア、及びその周辺国の株価が新たな地政学的リスクの台頭から売り込まれているということだろうか。

多くの人が、世界の株価動向をGDP成長率や為替レート(グローバルな資金の流れを代替している)、インフレ率や通貨供給量といったマクロ経済変数との関係で考えているが、これらのマクロ経済変数と世界の株価との関係を統計的に検証しても有意な結果はでない。つまり、グローバルな株式市場は、必ずしもマクロ要因で動いている訳でもないのである。

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