サッカー
二宮寿朗「サッカー日本代表を支える“勝負メシ”」

 先日、テレビ東京系列のサッカー番組「FOOT×BRAIN(フットブレイン)」のゲストに、岡田武史・前日本代表監督がゲスト出演していた。番組の最後、ブラジルW杯のキーマンを聞かれた岡田は選手名ではなく、「シェフの西さん」を挙げた。

 特定の選手名を出すのを好まないゆえ、かもしれない。だが、裏方である西芳照代表専属シェフの名前を挙げたのは、決してジョークなどではないとも思えた。食事環境を大切にしてきた岡田だからこその言葉であった。

南ア大会16強の裏に食の充実あり

 4年前の南アフリカW杯。ベースキャンプ地のジョージ「ファンコート」ではオーシャンビューの会議室を食事会場にして、西シェフが選手の目の前で料理するライブクッキングで楽しませた。夜はステーキにお好み焼き、朝はオムレツ。西シェフが料理をつくる鉄板の前には、選手たちがぞろぞろと並び、そこでコミュニケーションも生まれていった。

 施設でいかに選手たちをリラックスさせられるかにこだわっていた岡田にとって、食事会場は思い描いていたとおりの憩いの場になった。

 大会後、西シェフは嬉しそうに言っていた。
「お好み焼きをつくったときに岡田監督から『俺がつくるほうがうまいな』って言われました(笑)。食事は、凄くいい雰囲気だったと思います。経験ある選手のみなさんたちが率先して明るい雰囲気をつくってくれました」

 たかが食事と言うなかれ。勝手の違う外国で、安心、安全の食事を提供することがいかに大変なことか。西シェフは栄養面を考えながら、ビュッフェ形式で、ほぼ毎日違うメニューを提供してきた。鉄分が不足しないように、味噌汁、スープなどに必ず鉄分を多く含んだ具材を入れ、レバーや日本から持参したひじきなどを食卓に並べた。食の充実が、精神的にもコンディション的にも、チームにいい影響をもたらしていたことは間違いなかった。