八方美人の鳩山首相が招いた
普天間移転「八方塞がり」

思いつき発言で沖縄県民を惑わせた

 今の日本を取り巻く状況は、絶望的である。一日も早く鳩山内閣を倒す必要がある。外交、経済、政治倫理、どれをとっても失格である。

そのことは、3月24日の参議院予算委員会のしめくくり質疑で、私が政府を厳しく追究した通りである。

 残念ながらNHKテレビ中継はなかったが、鳩山首相や亀井大臣と激論を交わしたので、是非とも議事録を読んでいただきたい。

 とくにひどいのが外交である。普天間基地移設問題をめぐる迷走ぶりには、全国民が唖然としている。

 昨年の総選挙の際に、「最低でも県外移設」といった鳩山総理(その当時は民主党代表であるが、政権交代がほぼ確実視されていた中では、次期総理)の言葉に、沖縄県民はどれだけ喜んだことか。

だから沖縄県民は今の連立政権の民主党や国民新党や社民党の候補に投票し、自民党は全滅したのである。

 今、政府が示している案は、まず米軍キャンプ・シュワブ陸上部に600m級のヘリパッドを建設し、最終的には米軍ホワイトビーチ沖を埋め立てて代替基地を造るというものである。その完成までの15年間は、普天間のヘリ部隊の訓練を鹿児島県の徳之島、鹿屋(海上自衛隊航空基地)や宮崎県の新田原(航空自衛隊基地)に分散するという。

 しかし、この案に対しては、海外移転を希望する沖縄県民の賛成は得られないし、また、軍事的観点から、米軍もオペレーション上、受け入れられるものではあるまい。結局は現状の辺野古沖が最善の選択肢である。

 予算委員会では、私の質問に対して、鳩山首相は、「普天間基地の危険性の除去」を言うのみで、普天間移設・跡地利用には言及しなかった。そして、一朝有事の際には、普天間基地を使う、つまり普天間基地を継続使用することまで示唆した。これは、これまでの日米合意をくつがえすものであり、とうてい認めることのできない議論である。

 すべては、八方美人の鳩山総理の口の軽さが招いた災いである。この人は、沖縄の苦難の歴史をひもといてみたことがあるのであろうか、沖縄の人々の声に直接耳を傾けたことがあるのであろうか。

 また、軍事については、軍事的合理性を欠いた主張は国を滅ぼすことを認識しているのであろうか。国を救うためには、国家安全保障の基礎的知識を備えていない政治家を指導者の地位に就かせるべきではない。

「毒餃子」犯人を逮捕した中国政府の思惑

 中国製冷凍餃子の毒物混入事件は、3月26日、中国当局が元臨時工員の容疑者を逮捕したことが明らかになった。この問題は、私が厚生労働大臣であった2007年12月~2008年1月に発生し、対応に追われたが、私は、中国政府に対して真相究明を厳しく要求したものである。

 日本国内で農薬が混入された形跡がないため、中国が犯罪の舞台だと主張したのである。しかし、中国側は、むしろ日本こそ問題であるかのような対応をとってきた。そして、この問題を議論する場として、「食の安全に関する閣僚級定期協議」の創設を提案してきた。その提案を飲むと、毒入り餃子問題の棚上げにつながってしまう危険性がある。

 そこで、断固としてその提案を撥ね付け、問題解決が先だと主張したのである。

 ところが、政権交代後の2009年10月、鳩山首相は、温家宝首相と、先の閣僚級定期協議の創設にあっさり合意してしまった。幸い、容疑者逮捕となったが、対中外交のイロハが分かっていない。なぜ中国政府が容疑者拘束をこの時期に発表したのかは不明であるが、今後の外交交渉で、中国に有利なカードとして使われないように注意すべきである。

 「友愛」を唱えるのは結構であるが、国際社会は国益と国益がぶつかり合う弱肉強食の戦場である。資源の少ない日本が生き残っていくためには、あらゆる手練手管が不可欠である。戦後の国際システムの中では、日本が軍事力を国力の一要素とするには限界がある。経済や文化に頼るしかない。

 世界一流の製品を供給する能力、アニメなどで世界を席巻する能力こそが必要なのである。しかし、経済戦略もなければ、仕分け作業に舞い上がって文化戦略もない。鳩山内閣は日本を滅ぼすつもりなのか。

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