ビールとウィスキーの街・ロンドンで、初のワイナリーが誕生

ロンドン初のワイナリー「ロンドン・クルー」の外観

近年、ロンドンでは、カーネル・ブルワリー(The Kernel Brewery)、カムデンタウン・ブルワリー(Camden Town Brewery)といった"地ビール"ブランドや、2011年からロンドンでウィスキー蒸留所を営む「ザ・ロンドン・ディスティラリー・カンパニー(The London Distillery Company)」など、地元の独立系メーカーが醸造する"メイド・イン・ロンドン"のお酒が人気を集めてきました。

このトレンドに刺激され、2013年9月、ロンドン初のワイナリーとして創設されたのが「ロンドン・クルー(London Cru)」です。かつてジンの蒸留所であった300平方メートルの建物に、巨大なステンレス製タンクのほか、ぶどうの仕分けのためのベルトコンベアやワインを熟成するオーク樽などを設置。仏南部のラングドック(Languedoc)、ルシヨン(Roussillon)、イタリア北西部のピエモンテ(Piedmont)の3地域で調達したぶどうから上質なワインを醸造しています。

ロンドン・クルーの醸造所。ぶどうはベルトコンベア(中央)で仕分けされ、ステンレス製のタンク(左奥)で発酵させる
ロンドン・クルーでのワイン醸造を手がけるGavin Monery氏

この醸造所でぶどうの仕入れから加工・発酵・熟成・瓶詰めまでを取り仕切っているのは、オーストラリア出身のワイン職人Gavin Monery氏。ビールやウィスキーに比べ、一見馴染みの薄いワインを、あえてロンドン中心部で醸造しようと決めた狙いについて、次のように語っています。

「ロンドンのお酒といえば、ビールやウィスキーのイメージが強いかもしれませんが、実は、ワインもとても人気があります。しかし、流通面では、他国から輸入した既存商品をそのまま販売するのが主流。多くの消費者は、ワインがどんな場所でどのようにつくられているのか、よく知りません。そこで、ロンドンに居ながらにして、ワインを醸造プロセスから学び、親しめる場をつくろうと考えたのです」

新しい"飲みニケーション"のかたち

ロンドン・クルーでは、醸造所見学とワインテイスティングが楽しめる一日講座「Winemaker For A Day」を定期的に開催。老若男女問わず、「これまでと異なる観点からワインを楽しみたい」というワイン愛好家たちがこぞって参加しています。熟成途中のワインの試飲など、ワイン醸造所だからこそ提供できる体験を通じて、ワインの知識を深めさせるのはもちろん、醸造プロセスを積極的に公開することで、ロンドン・クルーというワインブランドへの信頼感やロイヤルティの向上にもつながると期待されています。

ロンドン・クルーと似た都市型ワイナリーの試みとしては、米ニューヨークやシカゴなどで展開されている「シティ・ワイナリー(City Winery)」も知られています。

お酒の"地産地消"自体はあまり珍しいものではありませんが、醸造プロセスから多くの人々に知ってもらう、関わってもらうというアプローチと、このようなオープンな場を介して、多様な人々がつながる新しい"飲みニケーション"のかたちに、非常に興味をひかれました。

ロンドン・クルーの体験型講座「Winemaker For A Day」では、熟成途中のワインの試飲もあり
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