メディア・マスコミ
最高裁人事について国民が知らないのは「メディアの怠慢」以外の何ものでもない
最高裁判所庁舎 〔PHOTO〕ウィキペディアより

メディアの責任はどこへいったのか

最高裁長官の交代が3月に決まったのをご存じだろうか? 新長官は誰でどんな経歴を持つのか? 一票の格差是正に積極的なのかそれとも消極的なのか? 死刑囚として袴田巌氏を48年間も拘束してきた裁判所の責任をどう考えているのか?

以上の質問にすべて答えられる人はほとんどいないだろう。新長官は寺田逸郎氏だが、同氏の名前を聞いてピンとくる人は少ないのではないか。国民生活に大きな影響力を及ぼす「三権(立法、行政、司法)の長」であるにもかかわらず、である。

なぜか。朝日新聞は4月17日付朝刊で長文のインタビュー記事を載せ、いくつか理由を挙げている。首都大学東京法科大学院教授の富井幸雄氏にインタビューし、「任命過程の透明化 国会が内閣に迫り国民的議論深めよ」という見出しを掲げている。

この見出しから想像できるように、インタビューのポイントは政府の説明責任だ。富井氏は「内閣は今回も、なぜこの人を起用したのか、どういうプロセスを経て選んだのかを、全く明らかにしていません」としたうえで、「国民生活に重要な影響力を持つ最高裁判事らの選任に、国会はもっと関心を持ち、内閣に説明責任を果たすよう迫るべきです」と強調している。

寺田氏の新長官就任が閣議決定された3月7日にも、朝日は解説記事を掲載している。同日付朝刊で田村剛記者が「新しい最高裁長官、どうやって選ぶの?」と題したQ&A形式のコラムの中で、「長官選びは密室で行われ、選考理由も国民に明かされない。大事なポストだけに透明化が望ましいね」と指摘している。

要するに、最高裁長官がどのように選ばれているのかを国民が知らないのは、政府や国会がきちんと説明していないから、というわけだ。確かに、最高裁の推薦に基づいて自動的に内閣が指名する現行システムよりも、国会で侃々諤々の議論があったほうがはるかにいいだろう。

だが、メディアの責任はどこへいったのか。政府がきちんと説明してくれれば、メディア側も詳しく報道できるということなのか。逆に言えば、「政府発表がなければ何も報道できない」「発表報道以上の報道はできない」と認めていることと同じではないのか。これでは「メディアの怠慢」のそしりを免れない。

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