【第11回】第五章 中小企業対策の骨格―都市と地方の所得格差を埋める(前編)
~最強の経済リソース保有国日本に、
安倍政権は間違えた労働政策をとるのか!~

【第10回】はこちらをご覧ください。

日本経済の中心は「国内需要」である

日本の「企業数」に占める中小企業・小規模事業者の割合は、何と99.7%(2012年時点)だ。従業員数の割合でみると、およそ7割になる。実のところ、我が国の「雇用の担い手」は、大企業ではなく中小企業なのである。

ちなみに、中小企業の定義は業界によって異なり、

「製造業は、資本金3億円以下または従業員数300人以下」
「卸売業は、資本金1億円以下または従業員数100人以下」
「小売業は、資本金5000万円以下または従業員数50人以下」
「サービス業は、資本金5000万円以下または従業員数100人以下」

と、なっている。

現在の安倍政権は、明らかに「グローバル市場」「グローバル企業」を中心に政策を打ち出しているが、それでは日本国民の「所得倍増」など夢のまた夢になってしまう。何しろ、日本の労働人口の7割は中小企業で働いているのだ。

もちろん、中小製造業の市場が「グローバル」というケースもあるにはあるだろう。とはいえ、製造業で働く就業者は1992年10月(1603万人)をピークに減少していっており、2012年12月には51年ぶりに1000万人を割り込んだ。その後、1000万人を回復したものの、2014年2月時点で1034万人に過ぎない。

日本の就業者数は6283万人であるため、製造業で働く人の割合は全体の16.5%ということになる。すなわち、我が国の就業者の8割以上は非製造業で働いており、主な標的市場は「国内」になるのだ。

【図5-1 主要国の輸出依存度・貿易依存度(2012年)】

出典:JETRO

勘違いしている日本国民が本当に多いのだが、我が国は別に「輸出依存国」でも「貿易立国」でもない(ついでに書くと、輸入依存国でもない)。そもそも、「輸出依存国」や「貿易立国」といった曖昧なフレーズを使う場合は、その数値的な意味をきちんと理解する必要がある。

無論、筆者は、

「日本が輸出をしていない」
「日本が貿易をしていない」

といった、極論を言いたいわけではない。とはいえ「依存国」「立国」といった用語を使うならば、数値データを用いて相対化をしなければ、「真実」は見えてこない。

図5-1の通り、日本の輸出依存度(=財の輸出÷名目GDP)は13.4%、貿易依存度(=(財の輸入+財の輸出)÷名目GDP)は28.3%に過ぎない。日本はアメリカやブラジルと並び、主要国の中で、

「経済が輸出や貿易に相対的に依存していない国」

なのである。

すなわち、日本の国民経済は「グローバル市場」ではなく、「国内市場」に大きく依存していることになる。ドイツや韓国並みに輸出依存度や貿易依存度が高いならともかく、内需が大きな我が国が、何故に経済成長を「グローバル市場」に委ねなければならないのか。

一応、断っておくが、筆者は別に、

「輸出企業は、日本経済の成長に貢献していない」

あるいは、

「グローバル市場など、どうでもいい」

と、主張したいわけではない。グローバル市場に製品を売り込む輸出企業も、当然ながら日本経済の成長に大きく貢献している。

単に、日本経済は「相対的」に、グローバル市場に依存するところが小さい、という「事実」を述べているに過ぎない。我が国が内需中心の国民経済を実現している以上、経済成長は、

「いかに日本国内の需要を拡大し、日本企業の供給能力を高めていくか」

に主眼が置かれるべきなのである。すなわち、日本国民と国内の中小企業こそを、成長の「要」とする必要があるわけだ。

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