韓国やフィリピンの憲法にも戦争放棄の規定がある!各国憲法との比較から「集団的自衛権」を考える

オバマ大統領の訪日において、安倍晋三首相は貿易分野で粘り、安全保障分野で指導力が目立った。

マスコミは、はじめて米国大統領が「尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されること」を明言したといっているが、実はその伏線は以前からあった。それを安倍首相が引き出したことこそが画期的なのだ。

オバマは尖閣を日米安保の対象とする法案に署名していた

2013年1月、米国で2013会計年度(2012年10月~2013年9月)国防権限法案が成立している。これは在沖縄米海兵隊のグアム移転関連費を復活させるものだが、その法案に、尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象とすることが明記されている。法案にはオバマ大統領も署名している。その点を安倍首相から指摘されたら、否定できないわけだ。

米国は、貿易分野において政府の交渉権限があまりないので、しばしば議会を引き合いに相手国の譲歩を迫ってくる。オバマ政権は2期目だが、議会との関係がうまくいっておらず、大統領が議会に通商協定の修正を許さず賛否だけを問える「大統領貿易促進権限(TPA)」法案も、与党民主党の反対で進んでいない。オバマ政権が自律的に交渉する権利を米国議会が承認していない状況だ。

安倍首相は、米国政府の常套手段を安全保障分野で逆手に使って、オバマ大統領からの言質を引き出したのだろう。

そして、安倍政権がやりたい集団的自衛権の容認についても、安倍首相はオバマ大統領から「支持する」を引き出した。

日本政府は、これまで、「憲法の制約によって、集団的自衛権を有しているが、行使することはできない」と「解釈」してきた。

多少とも国際法を勉強した者なら、集団的自衛権が、国連憲章51条に規定されていることを知っている。「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」とある。つまり安保理が行動するまでの間、個別的自衛権と集団的自衛権で凌げというわけだ。

さらに、個別的自衛権も集団的自衛権も、ともに、個人の正当防衛を想定すると理解しやすい。しばしば、欧米ではそうしたアナロジーで個別的・集団的自衛権が語られる。

日本でも、正当防衛は、刑法36条1項に、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」とされている。

もちろん、何でも正当防衛にあたるわけでない。侵害に「急迫性」があり、その防衛行為がやむを得ないといえるために、「必要性」と同時に、限度内のものである「相当性」が求められている。

また、ポイントは、正当防衛は自分だけでなく、「他人」を防衛するためにも許されていることだ。たとえば、自分の家族を助けるための正当防衛もある。

個別的・集団的自衛権も国家の正当防衛に近いものとされる。正当防衛と同様に、相手国の攻撃が差し迫った「急迫性」があり、防衛そのものが「必要性」と限度内のものである「相当性」(「均衡性」ともいう)がなければならないとされている。

集団的自衛権は、他の国家を防衛するために許されるものだ。もちろん、他の国家といっても、同盟関係の近い関係であることはいうまでもない。そして、「急迫性」、「必要性」、「相当性」に加えて、他の国家は、武力攻撃を受けている旨を表明し、第三国に援助要請することが必要とされている。

以上が、国際法における予備知識だ。

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