中国
日本は「満額回答」などと浮かれている場合ではない! アメリカはこれからなおさら中国を頼るだろう
〔PHOTO〕gettyimages

オバマ大統領の"リップサービス"

「安全保障に関しては、まさに満額回答だった」

安倍晋三首相は、先週のオバマ大統領の来日(4月23日~25日)を、こう総括したという。

確かに、1日遅れで25日に出された「日米共同声明」には、次のような記述がある。

〈 米国は、最新鋭の軍事アセットを日本に配備してきており、日米安全保障条約の下でのコミットメントを果たすために必要な全ての領域に及ぶ。この文脈において、米国は、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する 〉

前日の日米首脳会談後の安倍首相とオバマ大統領の共同記者会見でも、オバマ大統領は次のように明言した。

「米日安保第5条(有事の際の米軍の出動)は、尖閣諸島を含む日本の施政下にあるすべての領土が含まれる」

この発言は、直ちに海の向こうの中国政府を直撃した。24日午後、中国外交部の秦剛報道局長が顔を強ばらせて、「釣魚島(尖閣諸島)はわが国の固有の領土であり、日米安保の適用対象とすることに断固反対する」と述べた。

だがこれで、日本は安心してよいのだろうか?

過去半世紀にわたってワシントン取材を行い、歴代の日米首脳会談を見続けてきた元NHKアメリカ総局長の日高義樹氏に伺ったところ、氏は次のような見解を示した。

「尖閣諸島をアメリカ軍が守るというのは、オバマ大統領特有の"リップサービス"にすぎません。まずオバマ大統領自身が、2009年にノーベル平和賞を受賞し、『不戦の誓い』を行っている。

また最近、アメリカ人は内向きになってきており、昨年末にピュー世論調査研究所が行った大規模な世論調査によれば、53%の国民が『もう外国のために戦争することは絶対嫌だ』と答えています。これほど高い国民の意思表示は、ベトナム戦争に負けた時以来です。

アメリカには、1973年に定めた戦争権限法という法律があり、大統領の宣戦布告を制限しています。具体的には、開戦から48時間以内に下院議長ないし上院代表に、文書で戦争が不可避な理由、戦闘規模、期限の見通しなどを報告せねばなりません。さらに開戦後6日以内に議会が承認しなければ、戦争を中止しなければならないのです。

さらに今年1月16日には、マケイン上院議員らが、戦争権限法の議会の立場を強化する修正を行っています。新法では、連邦議会が議会指導者や上下両院の情報・軍事・外交・歳出の4委員会の委員長を含めた特別委員会を作り、開戦にあたっては大統領が特別委員会と協議しなければならないと定めたのです。

こうしたことを勘案すれば、オバマ大統領がいくら安倍首相に約束したところで、アメリカの人々は中国と戦争しようとは思ってもいません。オバマ大統領と安倍首相の寿司を食べ、酒を飲みながらの与太話のようなものなのです」

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