強まるJAL「2次破綻」の公算
月200億円の資本流出に有効策なし

 日本航空(JAL)の "2次破綻"が現実味を増してきた。1月に東京地裁に申請した会社更生法の適用を受けられず、清算を余儀なくされる公算が高まっているというのだ。

 最大の原因は、更生法の申請時に「プレパッケージ(事前調整)」型の法的整理と喧伝したにもかかわらず、実際には、JALが再建に繋がる抜本的な合理化プランを打ち出せずにいる点にある。

 今なお、月額にして約200億円と言われる出血(資金の流出)が放置されたままなのだ。

 さらに、信用力の低下は深刻で、単価の高いビジネス客を中心に顧客のライバル会社への流出に拍車がかかっているという。

 JALに対する金融支援によって多額の貸倒損失の償却を強いられてきたメガバンク各行は、従来にも増してJAL経営陣への不信を強めている。再建に向けた第一歩とされるDIPファイナンス(事業再生支援資金)を返済するための借換融資を拒む姿勢を崩そうとしないのだ。こうした状況が、東京地裁が更生決定を下す障害として立ちはだかっている。

 衆議院の国土交通委員会では、来週にも与野党が協力して集中審議を開き、事態の究明と前原誠司国土交通大臣の責任を追及する検討に入っており、その行方が注目を集めることになりそうだ。

リーマン・ショック直後より悪い業績

 やはり、更生法の影響は大きい。真綿で首を絞めるような状況だ――。

 航空、金融業界では、ここへきて、更生法の適用申請の影響を過小評価したことに対する反省気運が高まっているという。

 その背景にあるのが、申請の翌月にあたる2010年2月の営業成績(速報値や推計値)が、ここへきて次第に明らかになってきたことである。具体的にいくつかの数字を紹介しよう。

 まず、国内線の旅客数だ。関係者によると、前年同月比でマイナス1.6%と減らし、ライバルの全日本空輸(ANA)がプラス3.8%を記録したのと明暗を分けた。

 ドル箱と言われる路線をみても、JALは東京―札幌線でマイナス4.7%(ANAプラス8.7%)、東京―福岡線でマイナス2.9%(同プラス9.8%)、東京―伊丹線でマイナス11.6%(同プラス1.1%)と、この傾向がはっきりとみてとれる状況だ。

 ちなみに、ここで比較の対象にしている一年前、つまり2009年2月には、特殊な事情があった。というのは、その前年のリーマン・ショックに代表される世界的な経済・金融危機の影響が色濃く、国内の航空業界が、過去に例がないと言われたほどの不振に喘いだ時期だったのだ。JALは、そのどん底から、さらにもう一段、旅客数を減らしたことになる。

 厄介なことに、JALの採算は、顧客数の減少を上回るペースで悪化している。しかも、その悪化は今後、一段と加速することが確実とみられている。

 そのことを予見させるのが、券種別の利用状況と呼ばれるものである。2月は、単価の高いビジネス切符や普通切符が前年同期比で2割以上も減る一方で、単価の低い株主優待割引の利用客が3割近くも増えたのだ。

 加えて、料金を請求することができない、過去に蓄積したマイレージの消化で搭乗した利用客が1割近くも増えたとされている。これが、表面的な顧客数の減少以上に大きいペースで、採算が悪化していると言われる所以である。

 付け加えると、先の会社更生法の適用によって、株主優待割引が6月に廃止されることになっており、現在の株主優待割引利用客の増加は、過去の蓄積を使いきろうという駆け込み需要に過ぎないことも見逃せない。換言すれば、6月以降は消滅する需要である。

 また、こちらは6月までという制約はないものの、マイレージの利用客も過去の蓄積が一巡すれば、次第に減っていくと予想される旅客である。

 以上のような営業成績からみて、1月19日の更生法適用申請直後の「予想されたような混乱はなく、影響は軽微だった」との楽観的な受け止め方が甘過ぎたとの認識が広まっている。

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