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『許す力』に学ぶ有名人がいまだから明かす「私が許せなかった人へ」【第4回】浅香光代(女優)から野村沙知代へ「時間がすべてを解決すると学びました」

浅香光代(女優)から野村沙知代へ
時間がすべてを解決すると学びました

ベストセラー『大人の流儀』シリーズの第4弾『許す力』。発売3週間で早くも17万部に

まさかあんな大騒動になるなんて思いもしませんでしたね。'98年に「ミッチー・サッチーの熟女対決」という舞台で共演したんです。それが騒動の発端。その3ヵ月前にテレビの収録で一緒に韓国に行っていたので、沙知代さんが「個性のお強い人」だということはわかっていました。「お茶がぬるいわ」って怒るんですけど、韓国ではそれが普通。外国でもマイペースを貫きとおしていました。でも、あそこまで強烈な人だとは……私の想像を超えていました。

たとえば一緒に稽古をしたいと言っても、なかなかやってこない。あれこれ人をこきおろす。わがままにも程度があると思いました。もめるのもイヤなので、やんわり「慌てて舞台に立つより、もう1年くらいじっくり稽古に励んだらどうですか?」と言ったら、「いや、いますぐ出たいの!」って。そのときに「ああ、この人はダメだ」と、物を言う気も起きなくなった。あげくに「私が出てやったからお客がこんなに来た」と自慢げに言うんです。実際は赤字でしたけどね(笑)。

ずっと我慢していたんですが、レギュラーを5年間続けていた「大沢悠里のゆうゆうワイド」というラジオ番組を体調不良で辞めることになったんです。それで、最後だから言いたいことを言ってやろうと思い、そのときの沙知代さんの態度について喋りました。これが予想外の大きな反響を呼び、放送後、マスコミが連日事務所に押しかけてきた。結局、会見を26回もやることになりましたよ。

私も過去に3年くらいテレビのレポーターをやったことがあるものだから、マイクの前に立つと、ついつい何か話さなきゃとサービス精神が出て、面白おかしく喋っちゃうんです。「嫌なやつでもいいところはある。でも、サッチーにはこれっぽっちもない」なんて言ってしまいましたっけ(笑)。旦那にはたしなめられたけど、求められたらついつい口を開いてしまう性分なの。この経験は大変いい勉強になりました。「口は災いの元」という言葉は本当だって(笑)。今はことさら人に嫌われたくもないので、余計なことは喋らないようにしていますけどね。

「嫌い」という感情をお互いにぶつけ合うと、どんどんエスカレートしていく。その人の実態よりも、憎らしくなっていく。その間は忘れようと思っても、なかなか忘れられるものではありません。

でも、伊集院さんの本にもありますが、たとえ許せなくても、その感情を一度ポケットに入れてしまえば、少しずつ気にならなくなっていくものです。

もちろん、好きになったわけじゃないわよ(笑)。許したわけでもない。今はもう「あ、サッチーって人がいたな」くらいの気持ちです。

変な話、男と女だって、何だかんだあっても、別れて時間が経てば忘れていくでしょ。いまさら沙知代さんに何か言いたいとは思いません。ポケットから怒りを取り出すことも、もうないでしょうね。

「週刊現代」2014年4月12・19日合併号より