HONZ現代ビジネス
2014年05月01日(木)

感電するアート 『オーラ!? 不思議なキルリアン写真の世界』

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レビュー:内藤 順

キルリアン写真というものを、ご存知だろうか? 今から約80年ほど前の1930年代に、旧ソビエト連邦で発明された不思議な写真のことである。発明家ニコラ・テスラの影響を受けた旧ソ連のキルリアン夫妻がその発明者。電気治療器の高周波によって生体から放電が起きていることに気付き、それを撮影しようと試みたことが発端であったという。

この鉄のカーテンの中で育まれたキルリアン写真が西側諸国にも広く知られるようになったのは1970年代のこと。超能力の研究で博士号をとったアメリカの臨床心理学者セルマ・モスが1970年にソ連を訪問したことがきっかけとなった。手や植物の周りを光が取り囲む不思議な写真は、「オーラを撮影したものではないか?」とも言われ、一気に世の中に知れ渡ることとなったのである。

(左)キルリアン写真の代表例でもある「手」、(右)「葉」印画紙に感光したもの(※どちらも著者による再現)

なかでも注目を集めたのは、「幻葉(ファントムリーフ)」という現象である。キルリアン写真で葉っぱを撮ると、通常は葉っぱの周りが発光する。そして次に葉っぱを半分に切断した状態で、写真を撮るとどのようになるのか?普通に考えると、切った部分の葉っぱは消えるはずである。それがどういうわけか、元の葉っぱ全体の形をした発光になるのだ。

幻葉(ファントムリーフ)左半分に葉っぱがなくても、元の形に光る。(※著者による再現)

"肉体が滅んでも、魂は残る"と言わんばかりのこの現象はTVや雑誌でも広く取り上げられ、病気を診断する技術としての研究までも行われていたという。しかしその後の進展が進まなかったことは現在の世の趨勢を見れば明らかで、やがて人々の記憶からも忘れ去られていってしまった。

このSFの舞台設定のような題材を、現代において科学的に再現しようと試みたのが、本書『オーラ!?』である。1930年代の旧ソ連からから2010年代の日本へ、そして超科学から科学へ。さまざまな境界を乗り越えて今蘇った、決定的瞬間の数々が100点以上も収められている。

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