雑誌
連載「買わせる発想」【第3回】フレームワークが発想をダメにする3つの理由
岡田庄生(博報堂コンサルタント)

【第2回】はこちらをご覧ください。

お客様の事をちゃんと理解しよう。そう考える企業は増えています。

しかし、新たにマーケティング部門を作ったり、著名な講師を呼んだ社内研修なども実施しているにもかかわらず、「やっぱりうちの社員はPCの前に座っていても、全然新しいアイデアが浮かんでこない。どうにかならないものか」と嘆く経営者の方にご相談いただくケースも多くあります。

話を聞いていくと、マーケティング企業こそが陥りやすい、「フレームワークのワナ」が存在しているのです。

MBAの流行や、外資系コンサルティング会社が増えた影響で、ここ数十年でたくさんの有名な経営やマーケティングのためのフレームワークが世の中に登場しました。ブルー・オーシャン戦略、バリューチェーン、3C分析、PEST分析等、数え上げればきりがありません。

もちろん、フレームは複雑な情報をシンプルに解きほぐして理解を助けてくれる、とても便利なものです。しかし、基本的には過去に成功した事例を元に作られたものですから、未来の新しいアイデアを生み出す時に、必ずしもそのフレームが有効かどうかは分かりません。むしろ、フレームを埋めただけで満足してしまって、肝心の中身の質が高められていない、ということがよくあります。

実際にフレームを目の前にすると・・・

あるハンバーガーチェーンを例に、考えてみたいと思います。あなたが勤めている業界2位のハンバーガーチェーンは、業界最大手の「アメリカから来たジャンキーなハンバーガー」に対抗して、「日本の旬の食材を使ったヘルシーなハンバーガー」を作ることにこだわった会社だとします。

美味しさに定評があるあなたのハンバーガーチェーンですが、長引く不況の影響もあり、近年の売り上げは横ばい。社長からは、こう告げられます。

「1位のアメリカ発チェーンを脅かすような、斬新な戦略を考えてほしい。よろしく頼む」

買わせる発想 相手の心を動かす3つの習慣』
著者= 岡田庄生
講談社 / 定価1,080円(税込み)

◎内容紹介◎

「新商品アイデアが、いつもボツになる」「商談でよく、商品のベネフィットがわかりにくい、と言われる」そんな悩みには実は、「発想のクセ」が隠されている。スペック依存発想、表層的なターゲットの切り分け、フレームワーク発想などの「発想のクセ=罠」から脱却し、相手の心を動かし、「買わせる」ための「筋トレ」本。博報堂・若手敏腕コンサルの「幻の講義」

⇒本を購入する AMAZONはこちら / 楽天ブックスはこちら

こんな時、よく登場するフレームが、「SWOT分析」です。現状を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素で分解して考える、最も有名な戦略立案ツールの一つです。このSWOT分析を使って、あなたのハンバーガーチェーンの現状を分析してみましょう。

まずは、「強み」の項目を埋めてみましょう。例えば、「新鮮な食材」「手作り感」「高品質」といった言葉を記入してみます。もちろん、1つでも構わないのですし、箇条書きではなく文章でもいいのですが、何となく強みが1つだけだと心細いので、ついつい3つ程度書いてしまいがちです。

次に「弱み」です。強みの項目に3つも書くと、弱みにも1つというわけにはいきません。「値段が高い」「待ち時間が売り上げが伸びない長い」と、2つ程度書いておかないと、なんだか落ち着かない気分になってきます。

心細い、落ち着かない、など、笑い話のようですが、実際にフレームを目の前にすると、そんな気分になってしまうから不思議です。実は、この時点で既に「フレームワークのワナ」に陥りつつあるのです。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら