『未来を切り拓くための5つのステップ』 2014年最高のビジネス書 起業のバイブル

レビュー:成毛 眞

著者の加藤崇さんにはじめてお目にかかったのは、昨年10月23日スルガ銀行d-laboでのイベントだった。二人ともビジネスモデルコンテストの審査員として参加していたのだが、イベントが終了してから一冊の本を手渡された。大手出版社から再版したいのだという。

手作りにしては装丁やレイアウトなどが良くできているその本のタイトルは『THINK BIG』。Amazonでも買うことができるとのことだったが、書店では販売されていない、いわゆる自費出版だ。正直に言って、初対面の出版の素人から手作りのビジネス書や自己啓発書のたぐいをもらうことがあっても、読むことはない。この時もしばらく放置していた。

イベントから1ヵ月以上たった12月4日、Googleが日本のロボットベンチャーSCHAFTを買収したというニュースが世界を駆けまわった。ニューヨーク・タイムズを皮切りにウォール・ストリート・ジャーナルはもちろん、BBCなども大々的にとりあげるニュースだった。たしか加藤さんはSCHAFTに関係していると言っていたはずだ。目の前に積ん読になっている自費出版本に何か書いてあるかもしれない。慌てて読み始めたことは言うまでもない。そして驚愕して狼狽した。もっと早く読むべきだったのだ。

断言しよう。この本は世界中の起業家がまず読むべき本であり、他のビジネス書などを読む必要がなくなる完全無欠の一冊だ。ここに起業のすべてが書いてある。本質的だが、柔軟で、すぐに実践に移すことができる起業のための考え方と体の動かし方が書いてある。体系的だが、独創に富み、完全に納得できるアイディアに満ちている。いままでこのような本を見たことはない。日本のビジネスシーンを根底から変える力のある本なのだ。

目立つ見出しをいくつかピックアップしてみよう。

第1章「いつ始めるのか? なぜ始めるのか?」
・ 起業とは、正解がどれかを考える仕事ではなく、正解を自分で作る仕事
・ これからの日本型キャリアの行方:トーナメント戦からリーグ戦へ
・ 起業してからアイデアを考える人、アイデアがあって起業する人


第2章「誰と作るのか?何を作るのか?」
・ 10倍良い、10倍速い、10分の1の価格、それはけっして10%ではない
・ 熱狂的なファンと、それが心底嫌いな人を生み出しているか?
・ 売れるかどうかは、売ってみなければ分からない。さぁ、売りに行こう


第3章「誰にどうやって売るのか?」
・ まず「何度も何度も断られる」ことを計画に織り込んでおこう
・ 起業家はものを売るのではなく夢を売り、夢はお客さんの口を通じて伝わる
・ そのお客さんが、他ではなくてその商品・サービスを買うべき理由を伝えよう


第4章「どうやって会社を大きくするか」
・ 外部から資金調達が必要な2つの理由:「立て替え」と「投資」
・ ビジネスプランを書くが、それに囚われない柔軟性を持とう
・ 愛した子供が自分の手を離れる時:M&AとIPO


第5章「いつも覚えておきたいこと」
・ 自分は本当に充分なリスクを取ってきたのだろうか? と時々振り返ろう
・ 偉い人だから未来を予測できないことを頭に入れておこう
・ 成功した起業家たちの行方:シリアル・アントレプレナー