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60すぎたら、どんどん捨てなさい【part5】子供になんか残すな!「カネは自分で使い切る」が正しい

捨ててこそ、楽しい人生が始まる

子供になんか残すな!
「カネは自分で使い切る」が正しい

『人生の終いじたく』という著書もある、女優の中村メイコ氏(79歳)が言う。

「普段から子供たちには『お父さんもお母さんも一生懸命働いて、あなたたちが満18歳になったときに力を振り絞って留学させて、あなたたちも一本立ちしているんだから、私は何も思い残すことはない』と伝えてあります。

財産分与するほどの資産がなければ、遺言状も書かなくていいのよ。それよりも大事なのは、両親が生きている間に、子供たちにちゃんと、両親はこんなふうに生きましたよと背中を見せること。

『孫に小遣いはあげてたけど、意外と蓄えはなかったんだなぁ。お父さんもお母さんもおカネに執着のある人じゃなかったし、精一杯のことをしてくれて死んじゃったんだから、おカネがなくても当たり前よね』と子供たちに思ってもらえるように、私たち夫婦は生きてきたつもりです」

中村氏は「子供にモノやおカネを残す必要はない。とにかく余計なものはすべて捨てる」と断言する。

前章では人間関係をいかに整理するかを考えたが、本章ではモノ、そしてカネの話をしよう。

元銀行員で、都内在住の山崎茂さん(63歳・仮名)は言う。

「長年働いてきた会社を定年退職して、やっと自分のためにおカネと時間を使うことができるようになりました。残りの人生を楽しむために、何が必要かを考えてみたら—新たに必要なものなど何もなかった。むしろ、不要なものとオサラバすることこそが必要だと気づいたんです」

そのためにまず、山崎さんが選択したのは、「家を捨てる」決断だった。

「同世代の友人に聞くと、『いずれ息子夫婦が住むから』と言って一軒家を手放せない人が多い。しかし私は、『そんな必要あるのかな』と思ったんです。

息子には息子の人生がある。この家に住みたいかどうかもわからない。だとしたら『資産を残す』という発想はやめて、私たち夫婦が身軽に動けるほうがいいと判断しました」

山崎さんがこれまで住んでいた家は、サラリーマンとして働いていた40代半ばに建てた、神奈川県内にある一軒家だった。

最寄り駅から徒歩で20分の距離で、ここ数年は真冬や真夏には歩くのがキツくなった。それに子供が大学を卒業し、就職をして家を出ていってからはスペースを持て余し、空き部屋がみるみる物置のようになっていった。気がつけば、数ヵ月に1度の庭の手入れですら、山崎さん夫婦にとっては負担になっていた。

 「週刊現代」2014年3月1日号より