オープンデータのカルチャー醸成に取り組む、英オープンデータ・インスティチュート
アーティストSam Meechが制作したニット作品「Punchcard Economy」

オープンデータとは、自由に使えて再利用もでき、かつ誰でも再配布できるデータのこと。近年、行政機関が保有する公共データのオープンデータ化が進んでおり、その代表的なものとして、米国の「Data.gov」や英国の「Data.gov.uk」、英ロンドンの「london.gov.uk」などがあります。

多種多様なオープンデータの公開は、行政の透明性や信頼性を向上させるのみならず、国民・市民の政治参加を促進し、官民恊働の推進や経済活性化にもつながる、社会的・経済的価値のあるものです。しかしながら、オープンデータの活用層はまだ一部の専門家のみにとどまっており、一般の人々にとっては"数字の羅列"以上の価値を見出だしづらいのが現状です。

英ロンドンに拠点を構える「オープンデータ・インスティチュート(Open Data Institute・ODI)」は、オープンデータの価値創出に向け、オープンデータ・カルチャーの進化をもたらそうと2012年に設立されました。英国政府から1000万ポンド(約17億3000万円)の助成を受けているほか、メディアイノベーションプロジェクト「ファースト・ルック・メディア(First Look Media)」の出資者ピエール・オミディアール氏(Pierre Omidyar)の投資会社オミディアール・ネットワーク(Omidyar Network)からも資金を供与されています。

アートを通じてデータの見方を示す

とりわけ、アートプログラム「データ・アズ・カルチャー(Data as Culture)」は、オープンデータ・インスティチュートのユニークな取り組みです。これは、データを"素材"として活用したアート作品とその制作者たるアーティストを広く一般の人々とつなごうというもので、オープンデータの概念や実用性を改めて問い、オープンデータの文化としての意義を探り、「データとはいったいどんなもので、どのような意味を持つのか? それは、人々の生活や社会にどのような影響を及ぼすのか?」を追究しようとしています。

データ・アズ・カルチャー2014のキュレーターを務めるShiri Shalmyさん

現在、実施中の「データ・アズ・カルチャー2014(Data as Culture 2014)」では、公募で選ばれたShiri Shalmyさんがキュレーターを務め、48名の応募者の中から6名のアーティストが選出されました。

その選出作品のひとつが、アーティストSam Meech氏が制作した「パンチカード・エコノミー(Punchcard Economy)」。「8時間労働、8時間余暇、8時間休息」を提唱した19世紀初頭の英社会改革家ロバート・オウエン(Robert Owen)氏の「8時間運動」を引用し、デジタル・クリエイティブ・カルチャーの各業界で仕事をする現代のフリーランサーの勤務時間を、伝統的な労働組合の横断幕を模したニット作品で可視化しています。

オープンデータを推進するためには、より多くのデータを、オープン化し、入手可能な環境を整えることと同様、より多くの人々が、データの意義や価値を理解し、活用できるようになることも重要なポイント。オープンデータ・インスティチュートの取り組みは、アートを通じてデータの見方、捉え方を示すことで、一般の人々のデータリタラシーの向上につなげる先進的な動きのひとつといえるでしょう。

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