国際会計基準IFRSの適用拡大に旗を振れない金融庁の弱腰
2008年、ワシントンG20では麻生首相(当時)も「単一で高品質な国際基準」を宣言 photo gettyimages

世界で最もビジネスがしやすい国にする――。安倍晋三首相が掲げる成長戦略では規制や制度をグローバル水準に合わせることを標榜している。

会計基準の国際化は進まない

法人税を欧米やアジア諸国の水準まで引き下げることや、過度な規制を一気に緩和することなど、緩める方向の改革は財界や業界団体の理解も得やすく、賛成の声も大きい。ところが、一方で企業が痛みを伴うような「国際化」はなかなか動かないのが実状だ。

欧米の企業では当たり前の存在である社外取締役は、1人を義務付けることですら経団連などが反対した。

もうひとつ、なかなか進まないのが企業の決算書を作る基本ルールである会計基準の国際化である。日本企業の経営を本気でグローバル化しようと思えば、業績を測る物差しである会計基準を国際水準にそろえなければ、決算数字を正確に比較することすらできない。会計基準に関心を持つ人は少ないが、企業経営にとっては重要なインフラなのだ。

昨年5月に自民党の日本経済再生本部がまとめた「中間提言」には、金融・資本市場の魅力拡大の一助として、「東証『グローバル300社』インデックスの創設」という一項目が入っていた。

ROEや海外売上比率、海外投資家比率、独立社外取締役の設置、IFRS(国際会計基準)の導入などを基準にして選んだ「グローバル 300 社」のインデックスを作るよう求めたのである。

ROEは株主資本に対する利益の割合で、収益性の高さを示す指標。これに独立社外取締役やIFRS採用なども銘柄選定の「条件」とするよう提言は求めていた。

これに応じる形で東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)は「JPX日経インデックス400(以下、JPX400)」という指数を創設し、今年1月から算出し始めた。

「IFRSの採用などを条件にするのは、投資理論的に無理がある」(斉藤惇・JPXグループCEO)ということで、社外取締役やIFRSを採用している企業には「加点」するにとどまった。

自民党の企業会計小委員会は昨年6月、「国際会計基準への対応についての提言」をまとめたが、その中で「2016 年末までに、国際的に事業展開をする企業など、300 社程度の企業がIFRSを適用する状態になるよう明確な中期目標を立て、その実現に向けてあらゆる対策の検討とともに、積極的に環境を整備すべきである」としていた。

国際会計基準を決めているIFRS財団には、主要な規制当局者からなる「モニタリング・ボード」という組織がある。そのメンバーに選ばれる要件は当該国内で「IFRSが顕著に適用されている」こととされている。

現在、日本の金融庁はこのボードの議長職を務めるが、2016年末の見直しでメンバーに留まるためには、IFRSを採用する企業が「顕著な」水準に達していなければならない。それを300社としているのである。当初指数の構成銘柄数とされた300社もこれと連動していた。

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