経営者とデザイナーのあるべき関係は「秀吉と利休」に似ている
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なぜ「デザイン経営」が脚光を浴びるのか

スティーブ・ジョブズが活躍して以降、「デザイン経営」という言葉をたびたび聞くこととなった。ジョブズはジョナサン・アイブという英国生まれのデザイナーを副社長に据えて、iMacからiPodに至るまで様々な製品を世に送り出した。UI(ユーザーインターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)というモノ・コト全体を“デザイン”した彼らの業績は、広く世界に認知された。

デザイン経営とはこのように、時にデザイナーとタッグを組んで「デザイン」を経営の活性剤として機能させる経営手法のことだ。この場合のデザインとはもちろん色や形のことではない。簡単にいえば、企業のポジションを確立してブランドをつくり、「心理的価値を生み出すこと」である。

ではなぜ、いま「デザイン経営」が脚光を浴びているのだろうか。その理由はいくつかあるが、まず第一に考えられるのは、我々消費者が重視する価値の変化だろう。

現代人が求める価値は、物理的なモノから心理的なコトへと移行している。例えば牛乳とワインを比べてみると、牛乳は高くてもせいぜい1000円ほどだが、年代物のワインには百万円を超えるものもザラにある。このように、人はモノ本来の価格を超えたところにある体験的・心理的な価値を求めている。

また、消費者の立ち位置が「顧客」から「ファン」へと移行していることも、デザインが必要な理由といえるだろう。ファンは顧客とは異なり、値段に関係なく消費活動を行う。ファンというのは、とにかく「ブランドがもつ世界の住人になりたい」と思うからだ。AppleやGoogle、Nikeといった企業はこのような独自の世界をつく出した成功例だろう。

デザイナーの佐藤可士和氏 〔PHOTO〕gettyimages
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