「ホホジロザメに食べられて死ぬのが本望です」サメ好きが集う「サメ談話会」とは!?
サメ好き女子と@桜新町

サメ好きのためのコミュニティ「サメ談話会」

開口一番、「サメに噛まれて死にたいけれど、子どもができてしまったので、残念ながらその夢は叶えられそうにありません」と、伏し目がちに小声で私に打ち明けたのは、小柄でかわいらしい30代女性だった。その目はなんとも言えず、涙が溢れんばかりの悲しい色に染まっていた。

ここは東京・六本木のオフィス街の一角。ある不動産屋さんのオフィスを間借りした会場には、サメに関心を持つ人らが20名ほど車座になる。ここはサメ愛好家のコミュニティ「サメ談話会」だ。

サメ好きの中で、ホホジロザメに食べられて死ぬのが本望だと語る人は案外多い。映画ジョーズのモデルになったような大型でやんちゃなサメに襲われることが、死ぬほど怖いことであるのは周知の事実。しかし一方で、ハリウッド映画の主役に抜擢されるくらいの能力を持つ、その崇高過ぎるサメに食べられることによって、そのサメの一部になれるのかもしれない、という考え方もあるのではなかろうか。そうであるならば、ホホジロザメに食べられて死ぬのが本望だと語ることは、サメ好きがサメを愛し過ぎたあまりに起こる至って一般的な衝動のひとつということになる。

子どもができてしまったので、サメに食べられるいう夢が残念ながらも叶えられないと嘆いていた彼女。サメ好きとしてはお悔やみ申し上げたいのだが、子どもが成人した後に、リベンジの可能性もあることに気がつき、私は彼女に優しく微笑み返した。

サメ談話会は、サメに関する話題のみをひたすら3時間話す会である。サメ以外の話は原則禁止であるが、サメ談話会の最中にサメ以外の話題が出たことは今の今まで一回もないので、あえて禁止を謡ったこともない。

主に都内で毎月開催しており、昨年度までに北海道、気仙沼、東京、小笠原、静岡、大阪、沖縄とサメ好き人口が多そうな地域で不定期に開催をしている。

サメ好き封印説によれば(第一回連載参照)、潜在的なサメ好きは発掘しなければ他者から認識することはできない。私は日本国内にたくさん存在するであろう、サメ好きを発掘する目的で、サメ談話会を2012年8月から、毎月開催している。

第一回気仙沼談話会
2013年サメ忘年会@大阪海遊館

世間に露呈することなく生きてきたサメ好きは、この1年半の間にどの程度発掘されたのか。

サメ談話会をはじめとし、私の講演会やトークショー等のサメ関連のイベント参加者を合計すると、延べ1150名にのぼる。これ以外に、インターネット上でサメ好きとして私と交流する人は延べ1782名。単純に合計すると、このわずか1年半の間だけでも、私の身近なところだけで延べ2932名のサメ好きが発掘されたのだ(2014年4月現在)。

男女比は若干男性が多いものの、女性のサメ好きも半数近くを占める。職業や年齢は様々。最年少の4歳の男の子もリピーターとして参加してくれている。また、昨年のサメ忘年会では、小学4年生のサメ好きの男の子と還暦を越えるサメの文化研究のパイオニアの先生がサメ図鑑を一緒に見ながらサメ談議に花を咲かせるような心温まるワンシーンもあった。性別、年齢、職業をまったく関係なしに、ひとつの話題で心底楽しめるのも、このサメ談話会の醍醐味でもある。

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