芸術家とデザイナーの違いはどこにあるのか

芸術家とデザイナーの違い

「芸術家とデザイナーの違いは何か?」とたまに聞かれる。この2つは未だに混同されていて、デザインの分野に芸術家がいることは珍しくない。

デザイナーでありながら教育者、研究家、絵本作家などの顔を持つブルーノ・ムナーリは、デザイナーとは何かということについて、著書 『芸術家とデザイナー』のなかで次のように言っている。

〈 デザイナーは、世間によく知られ、広く消費される製品を、最良の方法でつくろうと努めている者である。他方、芸術家がデザイナーの仕事をしようとすると、かならず主観的な方法で行い、自身の「芸術性」を誇示しようとする。そして、製品に自分の信念が息づき、他の人にも伝わることを望む。これは画家であろうと、彫刻家であろうと、建築家であろうと変わらない。 〉

芸術家の目的は「自分の信念を伝える」ことにある。一方、デザイナーの目的は、それにより生み出されたプロダクトが「広く消費される」ことだ。従って芸術家は究極的には「自分や、自分と認めてくれるエリートのため」に仕事をするし、デザイナーは「すべての共同体のため」に仕事をする。

このことをムナーリは「平たく言えば、芸術家の夢は美術館にたどり着くことであるが、デザイナーの夢は市内のスーパーにたどり着くことである」と説明する。