スポーツ

特別版 二宮清純レポート  年俸は最盛期の
4億3000万円から3000万円に
小笠原道大(40歳中日ドラゴンズ・内野手)
「拾われた男」の逆襲

2014年04月22日(火) 週刊現代
週刊現代

では「崩れたバランス」を、どう立て直すのか。

「バッティングの基本は下半身。一歩、踏み出した時、しっかりと軸足に重心が乗っているかどうか。足の裏で地面をつかみ、きちんとボールをとらえて打つ。要するに土台づくりが大事なんです」

昨季終了後、小笠原は出番のない巨人を出る決意を固めた。FA宣言し、自らの獲得に乗り出す球団を待った。

数日後、携帯電話の着信音が鳴った。

「ウチでやってみるか?」

聞き覚えのあるイントネーション。声の主は中日のGMに就任したばかりの落合博満だった。

小笠原と落合には浅からぬ因縁がある。2人はともに'97年日本ハム入団の〝同期生〟なのだ。

「僕はルーキー、落合さんは誰もが一目置く大選手。会話なんて恐れ多くて……」

ルーキーの小笠原に与えられた仕事は、落合の〝ミット持ち〟。相手の攻撃が終わると、落合からポンとファーストミットが渡された。それをベンチに運ぶのが仕事だ。そして落合が再び守備に就く際には、ミットを抱えて一塁まで走った。

教えてくれないのであれば、目で盗むしかない。23歳の小笠原は、三冠王3度獲得の落合のバッティングに目を凝らした。

「学んだのは間の取り方。落合さんは構えてから打ちにゆくまでがゆったりとしている。要するに、それだけボールを長く見ている。これは勉強になりました」

今年のキャンプ中、一度だけ落合から指摘を受けた。

「頭の位置は気をつけた方がいいぞ」

通算2371安打のバッターから、2080安打のバッターへのアドバイス。ボソッとした口ぶりではあったが、再生途上の小笠原にとっては貴重な助言だった。

「頭はしっかりと体の上に乗っていないといけない。そこに気をつけろ、ということでした。あとはそうしたアドバイスを、どう自分の感覚の中ですり合わせていくか。ここから先は僕の仕事です」

名人は名人を知る。2人の16年ぶりの邂逅に運命的なものを感じるのは私だけではあるまい。

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