スポーツ

特別版 二宮清純レポート  年俸は最盛期の
4億3000万円から3000万円に
小笠原道大(40歳中日ドラゴンズ・内野手)
「拾われた男」の逆襲

2014年04月22日(火) 週刊現代
週刊現代

中日との契約は1年。今年結果を出さなければ後はない。俺はまだやれるんだ—。彼の闘志は涸れていない。

続けるかどうかそれは年俸の多寡で決めることじゃない

打球の回転を丁寧に確認しながら、黙々と打ち込む。料理人でいえば、仕込みの作業か。

小笠原道大は18年目のシーズンのスタートを沖縄・北谷で切った。中日との契約は1年。最高で4億3000万円あった年俸は、3000万円に減った(金額は推定)。

それでも表情に悲愴感はない。

「逆に新鮮ですよ」

そう言って40歳は、かすかに笑みを浮かべた。

「もう、やるだけ。いつダメになるかわからない。まず、今年できることをしっかりやる。そうすることで先が見えてくるかなと……」

この3年間、塗炭の苦しみを味わった。打率3割、30本塁打、90打点が当たり前だった男のバットから、突如として快音が消えた。

'11年=本塁打5本、'12年=0本、'13年=1本。過去に首位打者2度、本塁打王と打点王に各1度輝いた名プレーヤーの身に、いったい何があったのか。

大スランプの原因については、あれこれと詮索がなされた。衰えか故障か、それとも'11年に導入された低反発球か。

直截に訊ねた。

「確かにいろいろ言われました。年齢のこと、体のこと、そして低反発球……。それらは要因のひとつかもしれないし、全部かもしれない。きっと、いろんなことが重なったんでしょう」

ここで一度、言葉を切り、小笠原は続けた。

「(巨人時代の)'11年シーズンは2000本安打まで、あと11本でスタートしました。野球はあくまでもチームで戦っているのであって、個人で争っているわけではない。にもかかわらず、個人の記録ばかりがクローズアップされてしまった。僕はそれが嫌で嫌でしょうがなかった。

だから、早く通り過ぎようという気持ちが強すぎるあまりに普通なら手を出さないようなボール球にまで手を出してしまった。強引に打とうとすると、どうしても変なクセがついてしまう。そういう中でバランスを崩してしまったのかも……」

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