三橋貴明の「第2次所得倍増計画」

【第10回】第四章 エネルギー政策の未来---「脱原発」を主張するお花畑な日本人へ(後編)
~単一エネルギー依存は不毛な選択、
熟慮された「エネルギーミックス」が大正解!~

2014年04月22日(火) 三橋 貴明
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【第9回】はこちらをご覧ください。

エネルギー安全保障

前回で、筆者は、

「脱原発を実現したいのならば、原発再稼働と貿易赤字の縮小、GDPの拡大、蓄電技術や代替エネルギーへの投資が必要である」

と書いたが、現実には我が国が「脱原発」をすることは不可能である。理由は、エネルギー安全保障の問題があるためだ。

エネルギー安全保障とは、

「必要なエネルギー(特に「電力」)を必要なときに供給する」

ことを「継続的」に可能にするための一連の政策のことである。電力供給が不安定で、読者が電気を使いたくても使えないといった事態が発生するのを避けるには、事前に適切なエネルギー供給の仕組みを構築することが必要なのである。

エネルギー安全保障の肝は、「多様化」である。例えば、日本周辺で膨大なメタンハイドレート(固形の天然ガス)を採掘可能になったとして、

「エネルギー供給を100%、メタンハイドレートに依存する」

ことは、エネルギー安全保障上、問題となる。

断っておくが、筆者は別に「日本周辺のメタンハイドレートを採掘する必要はない」と言っているわけではない。メタンハイドレート、大いに結構。政府が莫大な資金を投じる必要があったとしても、日本国産の天然ガス供給源を開発することに意味はある。

ただし、我が国のエネルギー供給をメタンハイドレートに「依存」してはならない、と言っているだけである。エネルギーに限らないが、

「何かに依存する」
「どこかの国に依存する」

ことほど、安全保障を脆弱化させることはない。

自衛隊のアメリカ依存

一例を挙げよう。現在の自衛隊は、使用する兵器(装備品と呼ぶが)の多くをアメリカから買っている。特に、GPS(全地球測位システム)や情報共有システムなどについて、アメリカに全面的に依存している影響は大きい。アメリカ側は、いざというときに「ソフトウェア」のみで自衛隊の活動を制限することが可能なのである。

湾岸戦争に参戦したイギリス軍は、パトリオットミサイルを一発も発射しなかった。理由は、単に撃てなかったためである。

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