連続ドラマW「トクソウ」の原作者・郷原信郎が明かす「検察と司法マスコミの共犯関係」
WOWOW×現代ビジネス特別連載第1回


文:郷原信郎(弁護士、元東京地検特捜部検事)

2010年以降、特捜検察の「暴走」が次々と明らかになりました。

厚生労働省の局長だった村木厚子さんが逮捕された郵便不正事件では、大阪地検特捜部の検事が証拠品のフロッピーディスクの内容を改ざんしていました。小沢一郎・元民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る事件では、東京地検の特捜部長が、聴取した小沢氏の元秘書・石川知裕議員の供述内容を歪めて捜査報告書に記載していることが明らかになりました。

この2つの事件で、検察は世の中から大きな批判を浴び、その威信は大いに低下したと言っていいでしょう。

しかし特捜検察の暴走はいまに始まったことではありません。ずっと以前からあった構造的な問題なのです。

検察と司法マスコミの歪んだ関係

私がその実態を目の当たりにしたのは、東京地検特捜部の検事として直面した「ゼネコン汚職事件」捜査のときでした。

この事件では、政治家や首長、ゼネコン幹部などが逮捕されましたが、捜査の過程でさまざまな問題点が露呈しました。

一つは、検察が思い描いたストーリーに沿う供述をもとめるがために行われる暴力的な取り調べです。この事件では静岡地検浜松支部から応援に来ていた検事が、参考人である宮城県幹部に全治三週間のけがを負わせるという事態が生じました。

もう一つは、1994年1月9日に朝日新聞が「関係者の証言」として報じた記事です。茨城県内の公共工事受注を狙う三井建設から、地元選出の大物議員・梶山静六氏へ1000万円が渡っているという内容でした。この記事をきっかけに、多くのマスコミは梶山氏の疑惑を報じ、世論の関心は「大物議員・梶山氏の逮捕はいつか」ということに注がれるようになりました。

しかしこの件は後に、三井建設側の窓口役だった幹部が個人的に着服しており、梶山氏側にカネがわたった事実はないことが明らかになりました。その事実が明らかにならなければ、世論の後押しを受けた特捜部は梶山氏を逮捕していたかもしれません。

件の記事は、検察のしかるべき立場の人間がある程度の示唆を与えないと書けないと考えるのが自然です。検察幹部から朝日新聞に何らかのリークがあったのは明らかです。

この捜査に私は直接携わったわけではありませんが、一連の動きを見ていて痛感したことがあります。検察と司法マスコミの歪んだ関係はどうしようもないところまできている---。

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