「講談社現代新書」50周年特別企画①
村井 実「講談社文化を背負って」

村井 実(むらい・みのる) 1922年生まれ。1944年、広島文理科大学(現広島大学)卒業。教育思想・教育哲学の歴史的研究で知られる。慶應義塾大学名誉教授。元日本教育哲学会会長。『村井実著作集』など著書多数。

戦後の模索の中で

――講談社現代新書はこのたび創刊50周年を迎えました。講談社の社史には、シリーズを立ち上げるにあたって、村井先生から「講談社も『新書』をなさったらどうですか」とアドバイスがあったことが記されています。それから、今も現代新書の巻末に必ず掲載されている「刊行のことば」(後掲)も先生が起草されたそうですね。つまり、先生は現代新書の「生みの親」です。創刊に至る経緯を振り返っていただけますか?

村井 もう50年になりましたか。最初の3冊が発売された時のことはよく覚えていますよ。私はいつも下北沢駅で電車を乗り換えていたのですが、井の頭線の売店にズラーッと並んでいた。今では考えられないと思うけど、すごかったですよ。とても壮観でした。

 私が講談社とかかわるようになったのは、1950年代の後半だったかな。当時、講談社も小学館の後を追って『たのしい一年生』『たのしい二年生』といった学年誌をやっていたんです。そこでかかわりができた。

 でも、学年誌にしても、教科書にしても、学習参考書にしても、いろいろやっていたんですが、なかなかうまくいかなかった。

 そこでなんとかしなくちゃいけないということで、『たのしい一、二年生』の編集長をやっていた山本康雄さん(1952年入社。現代新書の初代部長、2013年死去)が、私のところに相談に見えたんです。「どうしたらいいんでしょう?」と。二人でずいぶん議論をしましたよ。それで、どちらが言い出したのかははっきり覚えていませんけど、講談社も新書をやろうという話になったんです。