メディア・マスコミ
STAP細胞報道、ブロガーに完敗したメディアは「取材を尽くした」と言えるのか
〔PHOTO〕gettyimages

万能細胞「STAP細胞」の論文をめぐり、筆頭筆者の小保方晴子氏を当初は徹底的に持ち上げ、データに問題があると分かると徹底的にたたく---。STAP細胞騒動ではこれが主要メディアの報道姿勢だった。

「長い物には巻かれろ」「水に落ちた犬は打て」といったやり方では報道機関として何の公益性も発揮できない。どこにどんな問題があったのか。一部のメディアは自らの報道について検証している。

「丁寧に取材する」では何の対応策も講じないのと同じ

まずは3月15日付の朝日新聞朝刊。科学医療部長の桑山朗人氏が「取材重ね、検証していきます」と題して取材の経緯を振り返っている。

〈 英科学誌ネイチャーは専門家による厳しい審査で知られ、掲載率は1割以下です。(中略)論文に名を連ねている研究者の過去の実績も踏まえ、この論文は信頼できると判断しました。 〉

桑山氏の主張を要約すると、論文発表段階で問題点を見抜くのは容易ではなった、ということだ。ではこれからどうすればいいのか。同氏はこう書いている。

〈 今回の件を教訓として受け止めなければならないと考えています。(中略)STAP細胞が本当に存在するかを見極めるためにも、私たちは再現実験の行方をしっかりとフォローしていきます。また、今回の経緯と問題点の詳細、さらに科学論文のチェック体制など、引き続き取材を重ね、検証していきます。 〉

つまり「教訓として受け止める」「しっかりとフォローする」「取材を重ねて検証していく」がポイントだ。これではあまりに当たり前で、何の対応策も講じないのと同じではないのか。

共同通信も検証記事を配信している。たとえば4月2日付の西日本新聞朝刊を見ると、「報道の経緯 発表時 問題点見抜けず」という見出しで共同通信が取材の経緯をまとめている。この中で楢原晃科学部長はこう語っている。

〈 取材は尽くしたつもりですが、真偽を十分に見極めることに限界があったと認めざるを得ません。報道した研究の内容に重大な疑義が生じたという結果を重く受け止めています。今後もSTAP細胞の存在の有無を確かめる実験を丁寧に取材し、科学報道の在り方を考えていきます。 〉

朝日の桑山氏が「教訓として受け止める」「しっかりとフォローする」「取材を重ねて検証していく」と言い、共同通信の楢原氏は「結果を重く受け止める」「丁寧に取材する」「科学報道の在り方を考えていく」と言っている。使う言葉は違っても言っている内容は実質的に同じと言えよう。

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