「原稿と絵。互いのキャッチボールで“現代のコロボックル”を作り上げたい」―佐藤さとるさんの『コロボックル物語』を引き継いだ有川浩×村上勉の新しい物語がはじまった

『コロボックル絵物語』絵・村上勉さんインタビュー
「コロボックルを書くのは、2年前で終わりだと思っていたのに、前言撤回です」

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――有川浩さんと村上勉さんとの「コロボックル物語」がいよいよスタートしましたね。

コロボックル絵物語
著:有川浩/絵:村上勉 定価:1200円(税抜)
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有川さんが佐藤さとるのコロボックルを書き継ぐという話が出たのが2011年の夏でしょう。最初にその話を聞いたときは「嘘でしょう」って思ったんですよ。それはあの売れっ子の有川さんが書き継いでくれるなんてあるのか、という意味と、佐藤さとるがほかの人に書き継ぐことを許すなんてあるのか、という意味と、両方でした。佐藤さとるは頑固なんですよ(笑)。

でも実際に「IN☆POCKET」での対談(※1)を読みましてね、ああ、これは佐藤さとるも本気だなと確信したわけです。実際に有川さんの本を読んで惚れ込んで、有川さんなら書けるし、書いてほしいと思って言っている。長年一緒にやってきたぼくには、よくわかりました。本当に驚きました。

実はぼくは講談社文庫で「コロボックル物語」が復刊の決まった2010年の秋(※2)に、「これでコロボックルを描くのはもう終わり」なんて言っていたわけですよね(笑)。でも有川さんからも自分が原稿を書く際には挿絵を描いてほしいと言ってもらえて、ぼくだってぼく以外はコロボックルを描けないだろうと思っているから、完全に前言撤回しました(笑)。

――有川さんがコロボックル物語を書き継ぐということが決まって、その年に「週刊文春」での『旅猫リポート』の連載(※3)が始まったわけですよね。

有川さんからコロボックルの前に『旅猫リポート』の連載の話をいただいたときは、週刊誌の連載なんて初めてだし、どうしようかと思いましたけどね。でも有川さんとの仕事ならやってみるか! と。それで、連載の最初に原稿が一気にまとめて届いたら、これが面白くてね。思わず「佐藤さとるはもういらない!」と冗談で言ったくらい面白かった。ただ、動物はいいんだけれど、「いまの男の子」を描かなければならなかったのが難しかったなあ。久々にスケッチブックを持ち歩いて電車で人を見学したりして。ワクワクしましたね。思わず若返りましたよ。

ただ、まさか連載のあとに『絵本 旅猫リポート』(※4)という一冊をつくるために、ほとんど描きなおすことになるとは思わなかったけどね。楽しいけれど大変でもある作業でした。

佐藤さとる版『コロボックル物語』のコロボックルたち

――『絵本 旅猫リポート』にもコロボックルが登場しますね! そうしていよいよ『コロボックル絵物語』になったわけです。ここには佐藤さとる版のコロボックル物語の名シーンが、たくさんセルフリメイクされていますね。

コロボックル物語の長編を書く前に、まず短いお話から、と『コロボックル絵物語』の原稿をいただいたのは昨年の夏のことです。そのときに『だれも知らない小さな国』からの引用のくだりがト書きに書いてあって、有川さんはオリジナルのイラストを引用するつもりだなと思いました。

でもこれをぼくは新たに描きたいと思ったんです。50年前のイラストは丸ペン(※5)で描いていました。でもいつか柔らかさや温かさを出せる面相(※5)で描き直したいと思っていたんです。草原なども面相は合うんですね。だから、少しずつ変えるけれど、名場面が甦る感じで描こうと。昔のイラストを再掲載するのではなくて、いまのぼくの手で描きなおそうと。