社会保障・雇用・労働
「8割を素早く出来たら95点」ほか、「できる人」と言われる3つのコツ

人事コンサルタントの常見陽平氏(『現代ビジネス』では「饒舌大陸」の出演者としてもおなじみだ)は大変優しい人だ。

氏の近著「『できる人』という幻想」(NHK新書)で、若いビジネスパーソンの多くが、「できる人」にならなければ会社や世間に受け入れて貰えないという強迫観念を持っていることを心配してくれている。

「即戦力」になる若者など滅多にいない

氏は、「できる人」など滅多にいないこと、さらに、若者が「できる人」になろうとすることの不毛を率直に語る。そして、努力というものには限界があるという。

常見氏が主に語る「できる人」幻想は、「即戦力人材」、「グローバル人材」、「コミュニケーション力のある人材」、「起業家」といった4つの方面に亘って世間にはびこっている。しかし、これらを若者が直接目指そうと思うことや、そうあらねばならないと自分にプレッシャーを掛けることは、多くの場合有益ではない。

詳しくは常見氏の著書を手にとって欲しいが、「即戦力」になる若者など滅多にいないし、「グローバル人材」は海外と関係した仕事が出来る人材という意味であれば仕事の必要に応じて後からなることができる。

続いて、同書は、一歩抜き出た「コミュニケーション力」を目指してTEDやスティーブ・ジョブズを真似てプレゼンテーションをしようとする若者の「痛さ」をからかい(!)、能力も運も平凡な若者がいきなり「起業家」になろうとすることの無謀さを、著者の出身会社でありOBから多くの起業家を輩出しているリクルート社での著者の経験と絡めて論じている。

これらを語った2章((第4章「そこまで『コミュ力』が必要ですか」、第5章「『起業家』は英雄か」)は、文章としても面白く、著者の気持ちがこもった本書の読み所だ。

常見氏は、高齢者が、若者に対して過剰な期待と責任と競争とを押しつける一方で、それらの問題の真の原因が、実は、若者の側にではなく、高齢者の側にあることを指摘し、中高年は「若者への説教離れ」せよ、とビジネス界の中高年を逆説教して同書を締めくくる。