STAP細胞問題で揺れる理研「官僚出向」と「研究費確保」の組織的問題

「科学の流儀」で検証されるべきSTAP細胞の存在

先週、理化学研究所小保方晴子氏の記者会見が注目をあびた。ここ2ヶ月ほど、STAP細胞が日本中で話題になっていた。STAP細胞の存在と理研の対応がポイントだった。

STAP細胞について、会見では、マスコミがいろいろな質問をしていたが、科学実験をしたこともないような人が聞いても意味はまずない。会見後、真偽ははっきりしないとしたり顔で報道する者もいたが、マスコミに科学的発見の真偽がわかるはずない。

会見での小保方氏の発言がおかしいかどうかについて、マスコミは研究者の意見を例に挙げていたが、研究者の習性として相手を批判することはしばしばだ。だから、学問の流儀で、論文による討論(ネット上で意見交換を含む)が用意されているわけだ。本当に意見の対立を報道したいなら、マスコミは学会等の様子を報道したほうがいい。

また、マスコミは、科学発見について簡単に真偽がわかると思い込んでいるが、実際はかなりの時間をかけないとわからない。ノーベル賞のためは、例外はあるものの、一般的に長期間の検証が必要だ。たとえば、昨年ノーベル物理学賞を受賞したヒッグス教授のように、若いときに業績を出して、長生きして年を取ったらもらえる。「ノーベル賞は頭と健康な体が必要」といわれる所以だ。

STAP細胞は仮説だろう。今年1月の発表で、細胞存在のサポート材料が一つ出たに過ぎず、今はそれが揺らいでいる。小保方氏は公開追試・再試でさらに論文を書けばいい。一方、小保方氏の思い込みの確率も結構あり、トンデモ研究の可能性もあると思う。ただし、科学の流儀で時間をかけて結論を出すべきで、今の段階で、真偽を決め打ちするのはできないだろう。

次に、今回の理研の対応は、科学の流儀から疑問である。理研は、今年1月の小保方氏らの論文発表当初、大々的に宣伝をしていた。しかも、発表までに研究内容の秘密保護にも腐心していたようだ。そのために、事態収拾に理研が乗り出さざるを得なかった。

今回の騒動について、理研をとりまく政治的な動きに理研があわせて、拙速な対応になっている。政府は、理研を世界最高水準の研究機関とする「特定国立研究開発法人」に指定するため、関係法案を4月中に閣議決定し国会に出す予定であったが、見送った。

逆算すると、1月のSTAP細胞論文発表の理研のプレーアップ、その後のバタバタした調査委員会報告などは、この理研の特定国立研究開発法人スケジュールに無関係とはいえないだろう。