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全員実名で告発! 袴田巌さんの罪をデッチあげた刑事・検事・裁判官

48年もの間、死と隣り合わせで生きる恐怖とはいかばかりか。矛盾だらけのシナリオを成立させるために結託したエリートたちには、到底わかるまい。人の命はそんなに軽いものではない。

「捏造された疑いがある」

当たり前のことが、当たり前に論じられない。それが有罪率99%を誇る日本の司法の実態らしい。

3月27日に再審開始が決まった元死刑囚・袴田巌さん(78歳)のケースはその典型だ。大々的に報道されているので詳細は省くが、事件が発生したのは1966年6月。犯人は静岡県清水市内に住む味噌製造会社の専務宅で夫妻と次女、長男をメッタ刺しにしたうえ、放火して逃走。8月、静岡県警清水警察署(当時)は味噌製造会社の従業員だった袴田さんを逮捕した。

「袴田さんは無実を主張し続けましたが、9月上旬に突然、自供。その背景には一日平均12時間、最長17時間にもおよぶ過酷な取り調べがありました。後に弁護団が入手した県警の捜査資料には『取調官は、犯人は袴田以外にない、袴田で間違いないと本人に思い込ませろ』という一文があったのです」(全国紙社会部記者)

公判でも袴田さんは一貫して無罪を主張したが、下された判決は死刑。控訴、上告ともに棄却され、'80年に死刑が確定した。袴田さんは翌'81年、静岡地裁に再審請求をしたが、こちらも認められることはなかった。

袴田さんを有罪とする根拠は強引な取り調べで得た自白と、犯行時に着ていたとされる5点の衣類—スポーツシャツ、ズボン、半袖シャツ、ステテコ、ブリーフのみ。今回、静岡地裁が再審を決めた理由は、

「5点の衣類は袴田元被告のものでも、犯行時に犯人が着ていたものでもなく、後日捏造された疑いがある」

というものだった。

最終ページの表はそんな脆弱な証拠を頼りに袴田さんを死刑にしようとした警察、検察、裁判所の面々をまとめたものだ。

48年もの拘留によって、袴田さんは衰弱。糖尿病、認知症を患っている可能性があるため、地元・静岡の病院で静養する予定だった。だが、「長時間の移動に耐えられる体調ではなかったので、都内で治療しています」と語るのは「無実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会」(以下、「救う会」)の門間幸枝氏だ。

「拘置所で袴田さんは『毒が入っている』と薬を飲まなかったり、『袴田はもう死んだ』と言ってみたり、普通の精神状態ではなく、治療ができなかったというのです。しかし、48年も死の恐怖とともにあったのだから、正気でいるほうが難しい。袴田さんに再審開始を伝えても『ウソだ!』となかなか信じてもらえませんでした」

事件当時、現在のような高度なDNA鑑定技術が存在しなかったのは事実である。だが、問題の本質はそこではない。捜査そのものが、当初から矛盾だらけだったのである。

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