「介して伝える」から「直接伝える」へ---デジタル・ジャーナリズムにみるPR発想のクリエイティブ展開

デジタル・ジャーナリズムの勃興

今回も前回に引き続いて、デジタル・ジャーナリズムの勃興についてです。特にPR発想を活かした新しいクリエイティブの可能性という視点でお話したいと思います。

デジタル・インパクトによるコミュニケーション環境の変化の中で、企業と消費者との「距離感」がぐっと縮まったと私は感じています。

最初のデジタル・インパクト、"情報の爆発"では、まず、インターネットによって圧倒的に情報流通量が増幅しました。結果、情報を検索すること、精査することが重視され、できるだけ早く最適な情報に辿り着くためのアプローチが主なテーマとなりました。

第二のデジタル・インパクトは、ソーシャル化の波ですね。特に、日本では大震災をはさんで、ソーシャル・メディアの浸透が一気に進みました。

私たち一般の生活者の間でも"人とのつながり方"が変わってきましたが、これまで、テレビや新聞を通じてしか見聞きすることのなかった、いや、むしろ、姿も顔も見えなかった企業の経営者の考え方や本音にも、直に触れる機会が増えました。経営だけではなく、商品開発にしろ、広告やPRなどのプロモーションにしても、企業のねらいや活動の舞台裏までもが透けて見える時代になったと言えます。

当然、経営者の人格や人柄は、消費者との関係づくりに大いに影響を与えます。米国をはじめ先進国では、商品やサービスの差別化が困難になる一方で、サスティナビリティや社会的課題に、企業がどのような取り組みを行っているのかを消費者が厳しくチェックしているという傾向が報告されています。

これからのマーケティングやPRについて議論を深めていく際、このような環境変化の下で、企業の「当事者性」というのは大きなテーマだと思っています。

以前、このコラムで、米コカ・コーラ社がプレスリリースを廃止するという話をご紹介しましたが「プレスリリースの廃止」そのものよりも、裏側にある、いわゆるマスメディアを介さずとも、自分たちが直接、生活者に語りかける方法を模索している点に注目したいと申し上げました。

手法論ではなく、根本にある考え方として、「介して伝える」から「直接伝える」へのシフトチェンジに大きな意味があるのではないでしょうか。

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