首都圏ネットワーク
環状道路網で変わるヒトとモノの流れ[特集]

上空から見た東金JCT=13年4月27日

首都圏の環状道路網などの広域ネットワークの整備が進むにつれて、東京近県の物流や観光などが様変わりしている。特に環状道路で最も外側を走る「首都圏中央連絡自動車道(圏央道)」の整備が進み、物流施設や工場などの立地が相次いでいる。都心の通過交通量が減る効果も大きい。道路網が途切れ途切れで「ミッシングリング」といわれた時代から、東京五輪に向けて道路網の整備はさらに加速するとみられ、近郊自治体の期待は膨らんでいる。

首都圏は「首都高速中央環状線(中央環状線)」、「東京外かく環状道路(外環道)」、「圏央道」の三つの環状道路と、都心から外へ放射状に伸びる9高速道(東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、東関東水戸線、東関東館山線、湾岸道路、第三京浜)をつなぐネットワーク道路網の整備が進んでいる。

内側の中央環状線は、都心から半径8キロの総延長47キロの道路。最も外側の圏央道は、都心から半径40~60キロに計画されている総延長約300キロとなっている。その中間にある外環道は、都心から15キロ圏を同心円状に結ぶ総延長約85キロの高速道路だ。3環状道路と9高速道をつなぐ整備が進めば、都心に集中している交通量を分散でき、渋滞解消や、都心を回避する東北地方などへの物流が可能になる。これまで3環状道路は9高速道路に比べて整備が遅れていた。

ここにきて整備が進み開通効果が期待されているのが圏央道だ。今年3月末で全体の56%に当たる170キロが開通しており、4月12日から茨城県の稲敷インターチェンジ(IC)~神崎IC(約10・6キロ)の供用が始まる。最もネットワーク効果が期待されているのが、今年6月に予定されている神奈川県の相模原愛川ICから東京都の髙尾山IC(約14・7キロ)間の開通だ。中央道の八王子ジャンクション(JCT)と東名高速の海老名JCT間が全線開通することになり、近畿圏や名古屋圏との物流に大きな変化が起きるとみられている。

圏央道の「ミッシングリング」解消促進

都心部を通過していた交通量の減少による混雑緩和や、圏央道に並行する国道16号と国道129号など周辺道路の混雑緩和にも寄与するほか、各高速道路間の移動時間短縮などが期待されている。圏央道は15年末には全体の約79%に当たる約240キロ、16年3月までに約94%の約285キロが開通する見込みだ。国土交通省によると、中央道八王子JCTと横浜港の現在の所要時間は、国道16号などを使って平均約124分かかっているが、圏央道ルートだけだと約53分にまで短縮されるという。

圏央道の整備が進むにつれて大きな変化が起きているのが、物流施設や工場の立地だ。同省のまとめでは、昨年9月現在で圏央道周辺に立地した物流施設や工場は17あり、これからの立地予定も15施設ある。宅配便のシェアが大きいヤマト運輸をはじめ、食品会社、家具製造、パン製造、自動車工場など多業種にわたっている。

神奈川県愛川町の工業団地の一角に巨大な物流施設「厚木ゲートウェイ」(8階建て、延べ床面積約9万平方メートル)が昨年8月に建設された。宅配便最大手のヤマトホールディングスが進める「バリュー・ネットワーキング構想」の中核施設で、最新鋭の仕分け設備が多数導入され24時間態勢で稼働している。同社は16年までに関西、中部にも同様の施設を作り、大都市圏間の当日配送を実現するという。大手百貨店がインターネット通信販売のために一部を専用倉庫として利用している。撮影スタジオが併設され、モデルを呼んでの商品紹介用の写真撮影も行われている。これらによって商品の受け付けから発送までの時間を短縮できるという。

同施設は、物流がバリュー(付加価値)を生み出す手段にしようという構想のもとに建設されたものだ。同社がこの場所に進出した理由の一つが、車で5分ほどの距離にある圏央道・相模原愛川ICだ。昨年3月に海老名ICとの間が開通し東名高速に接続された。高尾山ICまでの延伸で中央道も利用できるようになる。

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