『半沢直樹』の演出家・福澤克雄氏がトヨタの全面協力で"血塗られた過去"を描いた『LEADERS』
TBS『LEADERS』HPより

『半沢直樹』(TBS)の続編が待ち望まれている中、同じ演出家・福澤克雄氏による2夜連続のスペシャルドラマ『LEADERS』(3月22日、同23日)が放送された。

両作品は、香川照之ら複数の出演陣が共通。それだけでなく、骨太で重厚な演出も同じだった。福澤作品はスポンサー筋や世間におもねらないところが痛快だ。『半沢直樹』では銀行の暗部や銀行マンの狡猾ぶりを遠慮会釈なしに描いたが、『LEADERS』でも企業の戦後史を誰に気兼ねすることなく活写した。

世間におもねらずリアルな史実を描く福澤演出

このドラマの舞台はアイチ自動車で、主人公は愛知佐一郎(佐藤浩市)。言うまでもなく、モデルはトヨタ自動車と、2代目社長で事実上の創業者・豊田喜一郎である。ドラマはトヨタの全面協力の下、史実に基づいて作られた。

中身は甘口ではなく、90年代までの常識なら、高視聴率を取れるような作品ではなかったはずだが、関東地区の視聴率は、それぞれ13.7%と15.4%で、同じ時間帯の他番組を圧倒。トヨタの地盤である東海地区(中部日本放送)では20.3%と22.2%をマークし、大河ドラマを軽く凌駕した。

『半沢直樹』と同じく、恋や男女の話はほとんどなかった。近年、NHKの社会派ドラマの類にまで余計な愛憎劇が盛り込まれているが、福澤作品はそれを排除する。事実、世の中は恋と愛ばかりではないだろう。とくにビジネスの現場はそうであるはずだ。

世間におもねらない福澤演出らしく、佐一郎の喫煙シーンも登場した。2003年の健康増進法の施行以来、ドラマから喫煙シーンが瞬く間に消え、ひとたびタバコが画面に登場しようものなら、たちまち抗議が渦巻くが、1960年代まで8割以上の成人男性が喫煙をしていたのは厳然とした史実なのだ。

佐一郎は、椎名桔平が扮した身内の愛知正二(後の5代目社長・豊田英二氏)から、経営危機を背景に人員削減を進言されると、「社員は家族だ」と言い放ち、苦渋の表情でタバコを口にする。あの時代の空気をリアルに再現しようと思えば、当たり前の演出だろう。

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