真壁昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」

米国雇用統計まずまずでも、大手投資家はなぜ利益確定に走ったか

2014年04月08日(火) 真壁 昭夫
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大寒波の影響にも苦しんだ米国企業に本当の春は来るのか                                   photo gettyimages

4月4日、注目の米国雇用統計が発表された。3月の非農業部門の雇用者数は、事前予想の20万人には届かなかったものの、前月比プラス19万2千人とまずまずの数字であった。

米国企業の業績への疑念

しかも、1月と2月の雇用者数は上方修正され、寒波の影響で停滞気味だった米国経済の立ち直りの兆候が見て取れる内容との見方が有力であった。その為、統計発表直後は米国の株式市場は堅調な展開となった。

しかし、その後、株式市場は、大手投資家の利益確定の売りに押される格好で値を下げた。そうした株価動向の背景には、今年1-3月期の企業業績が、寒波の影響もあり大幅に低下したことがある。

米国のファンドマネジャー連中と話していると、彼らが、米国企業の業績回復ペースに懸念を持っていることが分る。今年1-3月期の企業収益の伸び率は、当初予想の6%台から1%台まで低下したと見られる。

業績伸び悩みの主な要因が寒波であったことは言うまでもない。問題は、4月以降の伸び率が予想通り回復するか否かだ。大手投資家の多くは、「それを見極めてから投資活動を行っても遅くはない」との意見が有力になっている。

そのため、基本的なスタンスとしては様子見姿勢を強め、株価上昇の局面では確実に利益を確定しておきたいというインセンティブが強いと見られる。こうした姿勢は、春先以降の米国企業の収益状況を見極められるかで続くと見た方がよいかもしれない。

中国不動産バブル崩壊

もう一つ、大手投資家が懸念しているのは中国経済の先行きだ。中国では、社債の債務不履行=デフォルトが発生していることもあり、企業の借り入れコストが顕著に上昇している。

また、金融市場では、通常の金融機関を通さない借り入れ=シャドーバンキングの残高が拡大しており、信用不安が発生すると実体経済には重大な阻害要因になることが予想される。問題は政策当局の対応能力だ。

それらの懸念が高まっていることに加えて、足元の中国経済の減速は予想を上回るペースになっており、直近の成長率は7%台の前半まで下落すると予想される。

そうした状況が続くと、中国経済が抱える不動産バブルが崩壊する可能性は否定できない。“チャイナリスク”は決して無視できない重要なファクターだ。


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