大企業内定から起業を選択! 850万円の見積書に挑んだ就活生のストーリー
就活という規格におさまらない学生たちの革命前夜
日本政治報道株式会社代表・鈴木邦和さん

あなたが、就活生だったとして。

資本金は50万円。手元には、投資家の見放した事業プランと850万円の見積書がある。そこに大手商社と大手メーカーから内定通知がきた。さて、どうするべきだろうか。

ぼくなら、100%企業に入る。べつに事業プランを諦めなくてもいい。

「人脈ができてから。貯金が溜まってから。スキルを身につけてから」

もっともらしい理由はいくらでも思いつく。

それでも起業を選んだ男がいた。日本政治報道株式会社代表・鈴木邦和さんだ。

なにが彼をそこまで駆り立てて、どんな考えがそこにあるのか。すごすぎて、ちょっと想像がつかない。だからインタビューをしてきた。

その答えのひとつは、「有権者と政治家のディスコミュニケーションを解決したい」という志だった。被災地で直面した現実と、そこから生まれた問題意識。それを解決するビジネスモデル。なるほど、起業家のストーリーとしては納得できる。

(詳細はこちら: 理系東大生、大手企業の内定を辞退し、起業を選択! 志を育む学生生活とは)

それでも、まったく共感はできなかった。みんな内定をとるのに必死の毎日なのだ。就活真っ最中のぼくが言うのだから間違いない。いったい、なにをどう考えればそんなリスクをとれるのだろうか。

今年も不安で満ちあふれている"就活戦線2014"。もしあなたが、「働く」に関する不安や悩みを抱えているとしたら。キャッシュもなく、850万円の見積書を片手に内定を辞退した鈴木さんのリスク哲学を、ぜひ知ってほしい。

選択を重ねてこそ、自分の人生を見つけられる

鈴木さんは、就職活動中に「日本政治.com」のビジネスモデルを思いついた。そのまま大手二社から内定をもらうが、事業計画も選考活動に並行してつくっていたという(日本政治.comの詳細についてはこちら)。

大企業への就職という成功モデルと、政治ビジネスという志。鈴木さんはその2つをどのように天秤にかけて、なぜ挑戦を続けられているのだろうか?

「選択に対する考え方だと思います。少なくとも学生でいる間は、親や社会のおかげで選択を保留して生きていけるじゃないですか。だから社会人になるときも、自分で選択をして可能性を狭めることに抵抗のつよい人が多い。

『自分はこのへんにざっくり関心があるから、まあ広く選択肢を持てるここに入って、またそこでなにか見つけよう』という人が自分の周りにはかなりいます」

言われてみればそうだ。ぼくらは「選択」することに慣れていない。義務教育は中学までなのに、高校にも大学にも、なんとなく入ったという人がほとんどだ。そこに突然ヨーイドン!!と就活がはじまって、就活ナビサイトや合同説明会に放りこまれたとき、まったく関係のない企業や業界の間を右往左往してしまうのも、しょうがない気がする。

「ぼくはそういった保留の考え方とは逆のスタンスです。人生の中で取捨選択をし続けるからこそ、より高い場所に到達できると考えています。たとえば、ぼくがいまこうしているのは、震災があってボランティアの団体を立ちあげて、そこで壁にぶつかって、そのあと政治の分野にはいって、会社をつくったからです。

選択をし続けることで、自分にしかない経験や考えが生まれました。それが自分の可能性を広げると思ってるんですよ。そうじゃなかったら、今日こうしてぼくがインタビューをうけることもなかったはずです」

だから「保留し続けた人が、選択し続けた人に勝てるとは思えない」という鈴木さん。何者にでもなれるし、やろうと思えばなんでも出来るというのは、若者の幻想だと断じた。

「選択は保留にすればするほど、その可能性を失っていくものだと思っています。人生は短いし、ひとりの人間が一生のうちにできることは限られています。将来への漠然とした可能性をいつまでも捨てられないと、何者にもなれないで一生を終えてしまう。その方がずっと怖いんです」

「なんでもできそう」で企業を選び、「なんでもやります」で自己アピールをする。そんなありがちな就活事情とは、真逆の鈴木さんの意見だった。

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