野球
二宮清純「カープ菊池涼介、進化する“忍者”」

驚異的な守備範囲

高い守備力を買われ、昨秋には侍ジャパンにも選出された

 その瞬間、思わずアナウンサーは「忍者がいた」と口走ってしまいました。その表現が大仰に感じられないほど、素晴らしいプレーでした。

 4月1日、マツダスタジアムでの広島対東京ヤクルト戦。4対2と広島2点リードの6回表2死満塁、ヤクルト山田哲人選手の打球は快音を発して、二遊間を襲いました。セカンドベースの右寄りです。おそらく広島ベンチは同点を覚悟したことでしょう。

 ところが、そこにはセカンドの菊地涼介選手がいました。ワンバウンドで捕球した菊池選手は二塁ベース上のショートの梵英心選手にトス。最大のピンチを防ぎました。

 聞けば、菊池選手は投球前に、一歩、二塁ベース寄りに守備位置を変えていたというのです。昔、流行した常套句を用いれば「目に見えないファインプレー」です。

 昨シーズン、菊池選手は528という補殺の日本記録をつくりました。「二塁ベースから右はどこに打っても菊池がいる」と、ある球団の主力選手は苦笑を浮かべていました。

 失策も19(セカンドでは18)と12球団ワーストタイでしたが、補殺の日本記録をつくった選手をゴールデングラブ賞に選ばないわけにはいきません。プロ入り2年目で菊地選手は「名手」の称号を手に入れました。