日本薬剤師会会長(児玉孝氏)が決意の告白「患者よ、クスリを捨てなさい」

2014年04月22日(火) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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その高齢男性は、処方されたクスリを飲みきれなかったので、自分で適当にチョイスして飲んでいました。クスリの飲みあわせによる副作用が出なかったことは幸いですが、本当に必要だったクスリを飲んでいなかったため、何の効果も得られていませんでした。

明らかに飲みすぎです

この男性のように、患者さんが自分でクスリの量を調整してしまうことがありますが、これにも注意が必要です。たとえば、一回2錠飲む必要のあるクスリを、一回1錠にすれば半分の効果が出て、一回4錠飲めば効果が倍になるのではと思う人がいますが、どちらも間違いです。クスリは、ある一定量を飲んではじめて効果が出るので、量が少ないと効果がほとんど得られず、一定量以上を飲んでも効果は変わりません。逆に、クスリを2倍量飲んだとき、副作用は2倍以上になる可能性もあるのです。

26種類というのは明らかに異常ですが、一日に何種類以上のクスリを飲んでいたら飲みすぎになるのかということは一概には言えません。けれど、3ヵ所以上の医療機関から計6種類以上のクスリを処方されて飲んでいる人は、薬剤師に一度チェックしてもらったほうがいいでしょう。それぞれの医師が、患者さんの症状を診て処方しているわけですから、同じ効能のクスリが重なって出されていることがあり得ます。

クスリの重複や飲みあわせによる副作用を防ぐために「お薬手帳」がありますが、それだけでクスリを管理するのは、現実的には限界があるかもしれません。

それに代わる方法としては、「かかりつけ薬局」を持つことも有効です。複数の病院にかかることがあっても、自宅の近くなどにかかりつけの薬局があれば、そこで一括してクスリを処方して管理もしてもらえます。患者さんから「このクスリは効かない」「このクスリを飲むと湿疹が出るから替えてほしい」といった相談があれば、薬剤師は処方した医師に確認する義務(薬剤師法に定められた「疑義照会」というシステム)があるのです。

薬剤師というと、処方箋に従ってクスリを出すだけの専門家という印象が強いかもしれません。ですが、クスリに関することは何でも訊いていただいていいんです。処方薬をもらう際、市販薬やサプリメントなどとの飲みあわせの相談でもいいですし、ご自身の体調のことを気軽に相談できる薬剤師を見つけていただきたい。

クスリ同士だけでなく、サプリメントや健康食品とクスリの飲みあわせで、悪影響が出ることもあります。たとえば、血液をサラサラにするワーファリンというクスリは、クロレラのサプリと一緒に飲むと効果が落ちてしまう。こうしたことも、かかりつけの薬剤師に相談できれば、未然に防ぐことができるでしょう。

薬剤師はクスリを売りたがるというイメージがあるのかもしれませんが、それも誤解です。むしろ我々としては、クスリの処方量が減っていくことが望ましい。患者さんの健康を守りながら、最小限のクスリで最大の効果を上げていきたいと思っています。

日本には、昔からクスリが身近なもので、クスリを飲んで病気を治すのが当たり前という感覚が根強くありますが、まずはクスリの正しい知識を身につけ、意識を変えていくことが必要ではないでしょうか。

「週刊現代」2014年4月5日号より

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