データジャーナリズムの先駆者的メディア「FiveThirtyEight」が大幅リニューアル
ネイト・シルバー氏が運営するデータジャーナリズム志向のメディア「FiveThirtyEight」

ネイト・シルバー(Nate Silver)氏は、独自の統計解析手法により、2008年の大統領選挙で全米50州のうち49州の勝敗を的中させ、2012年の大統領選挙ではすべての州でその勝敗を的中させた人物。データ駆動型の分析を政治ジャーナリズムに取り入れた"データジャーナリズム"の先駆者として、広く知られています。

2008年にシルバー氏が個人で開設した政治ブログ「FiveThirtyEight」は、自らのデータジャーナリズムを実践し、その成果とともに成長してきたメディアです。2008年の大統領選挙を機に爆発的な人気となり、2010年8月から2013年7月までは、米紙ニューヨーク・タイムズのウェブサイト内のブログとして運営されていましたが、その後、一時中断。そして、いよいよ2014年3月17日、"新生"「FiveThirtyEight」として、大幅にリニューアルされました。

シルバー氏が探るデータジャーナリズムの可能性

今回のリニューアルに際しては、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のスポーツ専門チャンネルESPNが出資。統計分析やデータビジュアライゼーション(データの可視化)のスペシャリストを含め、常勤のジャーナリスト20名がこのメディアに所属しています。

シルバー氏は、データジャーナリズムをベースとしながら、自らがこれまで培ってきた統計解析の知見・ノウハウと他のジャーナリストの経験・スキルを、より幅広いジャンル、多様なコンテンツに活かそうと考えています。それゆえ、リニューアル後の「FiveThirtyEight」では、政治のみならず、経済科学スポーツ生活の5ジャンルでニュースを配信。また、テキスト記事のみならず、グラフィックを多用するなど、より視覚的な表現にも、工夫を凝らしています。

データジャーナリズムとは、統計学その他の定量的手法をニュースの分析に適用すること。「FiveThirtyEight」のほか、ワシントン・ポストの元コラムニストのエズラ・クライン(Ezra Klein)氏が手がける動画ニュースサイト「Vox」など、データジャーナリズムを志向するメディアが少しづつ現れはじめています。

シルバー氏は、「データジャーナリズムは、大統領選挙からスポーツ、裁判、天気にいたるまで、あらゆるジャンルに適用できる」との自身の信念を「FiveThirtyEight」で実現しようとしていますが、彼の極端な"データ至上主義"には、賛否両論あるのも事実。

とはいえ、現段階では、統計分析においても、分析対象となるジャンルにおいても、データのビジュアル化においても、まずは、様々な技術や手法を柔軟に取り入れ、試行錯誤を繰り返すことが望ましいでしょう。実践し、検証するというサイクルをまわすことで、データジャーナリズムにふさわしい分析手法や、データジャーナリズムになじむジャンルが、次第に明らかになってくるのではないかと思います。
 

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