柴田知栄 第1回 「15年連続全国一位を誇る生保レディの財布はぶーちゃんだった」

撮影:立木義浩

<店主前曰>

わたしは毎日原稿を書いている。それは書くのが愉しいからだ。ある夜、夢中になって書いていると急に空腹を覚えた。そうだ、今夜は子供のときよく母親が作ってくれた"あれ"を食べに行こう。

"あれ"とは、簡単に言えばナスをバターでこんがり炒めて、その上に削りたてのカツブシをかけて、最後に醤油をちょっとたらすだけの料理である。それを白金のキャーブ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレで、お得意のえこひいき力でもって作ってもらっているうちに、店の正式メニューに仲間入りしてしまったものだ。

名付けて「エッグプラント・シマジスペシャル」という。とくに気に入ってくれた常連の1人が先日亡くなった藤巻幸夫である。よく内縁の愛妻・新村友季子さんと食べていたのが悲しみとともに懐かしく思い出される。

「カウンターはいっぱいか?」と電話を入れると「一席だけなら空いております」というではないか。おれはやっぱり神さまにえこひいきされている男だ。神さま、有り難うございます。

ハナレのカウンターに座るやいなや「シマジさん、こんばんは」と隣のカップルから声をかけられた。「おやおや、丸岡会長じゃないですか」「シマジさんにここを紹介されてから週に1度は通っています。こちらは柴田知栄さんです」

「はじめまして、柴田です。シマジさんですか。わたしは『甘い生活』も『迷ったら、二つとも買え!』も読んでいますし、先日はNHKBSで『全身編集長』を拝見しました」

軽やかに明るく話してくれたその女性こそ、今回のゲスト柴田知栄さんである。柴田さんは第一生命の保険営業で15年連続全国1位の栄冠に輝くスーパーレディである。

生命保険業界で語り継がれている伝説がある。それは「日本生命がどうしても第一生命に敵わないものが3つある。一つはGHQが残していったマッカーサーの部屋、二つ目は東京ディズニーランドのスポンサー枠、そして三つ目は柴田母娘の営業力である」というものだ。

柴田さんの妹・佳栄さんも同じく保険営業をしていて16年連続トップ5の地位をキープしている。そんな2人の素晴らしい娘たちを育て上げた母・和子さんの記録がもの凄い。2009年まで30年連続日本一に輝きギネスブックに2度も掲載されたほどの豪傑なのである。