佐藤優の読書ノート---黒川祐次著『物語 ウクライナの歴史――ヨーロッパ最後の大国』

佐藤優「インテリジェンスの教室」Vol033 読書ノートより

読書ノート No.101

黒川祐次『物語 ウクライナの歴史――ヨーロッパ最後の大国』中公新書、2002年

元駐ウクライナ日本大使の書いたウクライナ通史。大使として必要とされたウクライナ史に関する情報を要領よくまとめている。

今日のウクライナ危機を理解するためには、第二次世界大戦中のウクライナに関する知識が重要になる。

<一九四五年五月ドイツ軍が降伏してヨーロッパにおける第二次世界大戦は終結した。ウクライナの人口の約六分の一に当たる五三〇万人が死亡した。二三〇万人がドイツでの強制労働を強いられた。ソ連軍の中にはウクライナ人二〇〇万人が含まれていたし、ドイツ軍の中にも三〇万人のウクライナ人が含まれており、同一民族が互いに敵味方になって戦ったことは前大戦と同じであった。経済的な被害も甚大であった。独ソ両軍が取ったり取られたりする間、退却する側はいずれも焦土作戦をとって都市や工場を破壊していった。キエフの中心部の八五%が破壊され、ハルキフは七〇%が破壊された。前述の『ウクライナについての全て』では、ウクライナはこの大戦で全ソ連の物質的損害の四〇%をこうむり、これはロシア、ドイツ、フランス、ポーランドそれぞれの物質的損害より大きいとしている。

多くの民族主義者の自己犠牲的な活動があったにもかかわらず、今回も独立は実現しなかった。しかし膨大な人命と財産の損失の代償としてウクライナの領域は拡大した。ポーランドから東ハーリチナ、ルーマニアから北ブコヴィナと南ベッサラビア、ハンガリーからザカルパチアを獲得した。とくにザカルパチアは、ロシア帝国、ソ連を通じてはじめて支配下に入った。これによりウクライナは一六.五万平方キロメートルの領土と一一〇〇万の人口を新たに獲得して、五八万平方キロメートル、四一〇〇万人を擁するソヴィエト共和国となった。・・・・・・

このテーマについて深く知るための「連読」3冊
・ショーロホフ(漆原隆子/米川正夫訳)『人間の運命』角川文庫、2008年
・松戸清裕『ソ連史』ちくま新書、2011年
・東京農大ウクライナ100の素顔編集委員会『ウクライナ100の素顔 もうひとつのガイドブック』東京農大出版会、2005年

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol033(2014年3月26日配信)より

 

この続きは「佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」」でお読みいただけます。
なお、こちらのメルマガはお申込み月は無料でお試し読みができます。

>「佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」」を購入する
メルマガ表紙
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」

価格:1,080円(税込)
第2・第4水曜日配信+号外
「佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」」を購読する

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」最新の記事
佐藤 優の書籍紹介