現代新書
人生をリセットし、
人生を楽しむキーワードがデジタル・ワビサビ

『デジタル・ワビサビのすすめ』著者・たくき よしみつインタビュー(前篇)
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「デジタル・ワビサビ」って何?

──今回の本(『デジタル・ワビサビのすすめ 「大人の文化」を取り戻せ』講談社現代新書)はタイトルが意味深ですね。「デジタル・ワビサビ」とは、なにやら判じもののような響きですが、どういう意味でしょう。

たくき:実は、このタイトルに決まるまではかなり紆余曲折があったんですよ。特に「ワビサビ」という言葉をめぐっては……。

──ワビサビというと、わびしい、寂しい、というのが語源ですから、静かで地味なもののなかに美を見出す、というようなことですよね? 足るを知る……知足ということにも通じますが。

たくき:もともとはそういう意味ですが、実はこの言葉、欧米のアーティストや先進的起業家にとても人気のある言葉で、彼らは単に「静かで地味」というようなことではなく、もっと深い意味、精神性の深みや文化のコクというか、魂に訴える静謐で神聖な美、というようなイメージを抱いているんですね。僕もそれに近いイメージを抱いて使っていました。

 15年くらい前に「魂はアナログ、手段はデジタル」っていうスローガンを掲げたんですが、この「魂」の部分をさらに言い換えたのが「デジタル・ワビサビ」ですかね。

 デジタルで世の中いろいろ便利になったけれど、デジタルはあくまでも手段であって、手段に魂が支配されてはいけない。魂があればデジタルという手段でワビサビを表現することは可能だし、今まで以上に自由で大胆に魂を開放することができる、という主張ですね。